2014 Fiscal Year Research-status Report
皮膚由来抗菌ペプチドであるカテリシジンLL-37の皮膚バリア機能調節に対する役割
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26461703
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
ニヨンサバ フランソワ 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60365640)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ケラチノサイト / 抗菌ペプチド / タイトジャンクション / 皮膚免疫 / アトピー性皮膚炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
宿主防御ペプチド(抗菌ペプチド)が皮膚の防御の中心的役割をすることのエビデンスは沢山あり、単に抗菌作用だけではなく、様々な免疫調節作用を持っていることがわかっている。アトピー性皮膚炎と乾癬の両方に角層バリアの欠如があるにも関わらず、タイトジャンクション(TJ)バリアはアトピー性皮膚炎の患者では機能不全があり、乾癬患者ではTJバリアは正常か、もしくは増強されていることが最近判明した。カセリシジンLL-37などの宿主防御ぺプチドは乾癬の皮膚では増加しており、アトピー性皮膚炎の皮膚では抑制されているため、LL-37がヒトケラチノサイトにおいて、TJバリアの機能を調整しているのではないかと考えた。 ここでは、LL-37が選択的にclaudin 、occludinといったTJ構成タンパクのmRNA発現とタンパク発現を増加させることを示した。さらに、LL-37がTJバリア機能を増強することを、ケラチノサイトの細胞層の経上皮電気抵抗と細胞間透過性というTJバリア機能のパラメーターを用いることで示した。この効果は、claudin阻害剤であるオクラトキシンAにより抑制された。また、LL-37がRac1、非定型的プロテインキナーゼC(a PKC)、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3 (GSK-3)とPI3K経路を活性化し、それぞれの経路の特異的阻害剤がLL-37を介したTJバリア機能を阻害することが分かった。さらに、LL-37はTJ構成タンパクを増強するだけではなく、involucrin、 filaggrin、transglutaminase-1、keratin-1、keratin-10といったケラチノサイト分化マーカーの発現も増強し、ケラチノサイトの分化にも関与していると考えられた。 以上より、LL-37が抗菌作用と免疫調節作用も持つ他に、TJバリア機能を調節して皮膚免疫に貢献していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度の計画での①LL-37刺激によるケラチノサイトのタイトジャンクションの構成タンパク質と分化マーカーの発現、②LL-37のタイトジャンクションバリア機能に及ぼす影響と③LL-37によるタイトジャンクションバリア機能の調節メカニズムを明らかにし、論文で発表した。さらに、28年度の計画での「他の皮膚由来抗菌物質(デフェンシン、ソラヤシン)のTJバリア機能の調節に及ぼす影響」を明らかにした。従って、当初の計画以上に進展していると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後は、①LL-37に対する特異的受容体検索と同定、②LL-37のマウスホモログであるCRAMP欠損マウスでのタイトジャンクションの構成タンパク質と分化マーカーの発現と③CRAMP欠損マウスのタイトジャンクションバリア機能
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Causes of Carryover |
【平成27年度】の計画「③LL-37によるTJバリア機能の調節メカニズム」:特異的な阻害剤による結果は予想通りの結果だったので、抗体を購入必要がなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
【平成27年度】の計画①「LL-37に対する特異的受容体検索と同定」の㋓:MrgX2だけではなく、MrgX1、 MrgX3とMrgX4も購入する予定。
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Research Products
(6 results)