2015 Fiscal Year Research-status Report
MRI微小灌流・拡散定量による脳腫瘍診断への包括的アプローチ
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26461828
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 孝二 九州大学, 大学病院, 助教 (80546565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋渡 昭雄 九州大学, 大学病院, 助教 (30444855)
栂尾 理 九州大学, 大学病院, 助教 (10452749)
吉浦 敬 鹿児島大学, 医学部, 教授 (40322747)
本田 浩 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90145433)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳腫瘍 / 灌流強調画像 / 拡散強調画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
・脳腫瘍患者でのデータ収集:倫理審査委員会の承認を得た後、脳腫瘍術前患者の画像データおよび臨床データを収集した。灌流画像としてIVIM法を撮像し、その他、単純CT、造影CT(CT灌流画像)、MRA、および必要に応じてポジトロン画像を撮像した。 ・IVIM法を用いた脳腫瘍の悪性度による鑑別法・予後推定法の確立:蓄積した脳腫瘍患者の画像データ解析により得られたD値(真の拡散係数)およびf値(灌流の比率)を1)グリオーマの悪性度の違いによる前述パラメータの変化、2)膠芽腫と悪性リンパ腫間の違いにおけるパラメータの変化を解析した。同時に取得可能なADC値を加えて、診断能の評価・検討を行った。成果を国内・海外の神経放射線学会にて発表し、論文制作中である。
・今後の展望 他の脳血流測定法との比較・検討:IVIM法にて得られたデータを、従来法での脳腫瘍の悪性度鑑別能と比較し性能評価を行う。従来法としてはDSC法とASL法に代表される。DSC法から得られる脳血液量(rCBV値)はグリオーマの悪性度判別に有用と報告されているが、腫瘍血流量に関しては、造影剤の血管外への染み出しの影響もあり、過小評価される事が知られている。ASL法も脳腫瘍鑑別に有用であるが、主幹動脈の閉塞があり、脳実質の一部が側副血行路を介して灌流されているような場合、ラベル血液の到達時間が延長し、血流が過小評価される。いずれの方法も動脈入力関数に依存するが、IVIM法ではこれらの影響が少ないために診断能向上が期待される。また、IVIM法ではボクセル内の微小灌流を対象としているため、DSC法やASL法とは異なる情報が得られる事が期待され、微小循環指標の生理学的な意義の解明や、従来法との組み合わせにより、診断能向上を図る事も視野に入れている。現在症例蓄積中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IVIM法は造影剤を必要とせず、複数のb値(拡散強調の強さ)を取得するのみであり、通常の拡散強調像と比べて、撮像の煩雑さは少ない。造影剤を必要としないため、腎機能や年齢(小児等)の制限がなく、被曝がない点から撮像の制限は少ない。以上の要件があいまって症例蓄積が順調にすすんだものと思われる。解析ソフトに関しても、当初は1スライスのみの解析に留まり、解析時間を要していたが、新たな解析ソフト開発により、複数のスライスを同時に解析する事が可能となり、解析時間の短縮につながっている
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Strategy for Future Research Activity |
・他の脳血流測定法との比較・検討 IVIM法にて得られたデータを、従来法での脳腫瘍の悪性度鑑別能と比較し性能評価を行う。従来法としてはDSC法とASL法に代表される。DSC法から得られる脳血液量(rCBV値)はグリオーマの悪性度判別に有用と報告されているが、腫瘍血流量に関しては、造影剤の血管外への染み出しの影響もあり、過小評価される事が知られている。ASL法も脳腫瘍鑑別に有用であるが、主幹動脈の閉塞があり、脳実質の一部が側副血行路を介して灌流されているような場合、ラベル血液の到達時間が延長し、血流が過小評価される。いずれの方法も動脈入力関数に依存するが、IVIM法ではこれらの影響が少ないために診断能向上が期待される。 また、IVIM法ではボクセル内の微小灌流を対象としているため、DSC法やASL法とは異なる情報が得られる事が期待され、微小循環指標の生理学的な意義の解明や、従来法との組み合わせにより、診断能向上を図る事も視野に入れている。 ・PETなど他のモダリティとの組み合わせによる包括的評価 九州大学病院では平成25年度中にPET-MRIが導入され、平成26年度より本格的な運用が開始される。PET-MRIはMRIの高い濃度分解能をPET画像に反映することにより、レジストレーションや定量精度の向上が期待されている。この事は、IVIM法から得られる灌流・拡散情報に高精度な代謝情報が加わることで包括的な画像診断が可能となり、脳腫瘍の悪性度や治療後の再発・放射線壊死鑑別など現在の画像診断における課題に対して詳細なデータを提供するものと期待される。 前年度に引き続いて、データ収集および経過観察を継続する。また、蓄積された臨床および画像データを解析し、学会発表、論文作成を行う。
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Causes of Carryover |
おおよそ計画通りの支出であったが、国内の神経放射線学会に出席予定であったものの、病院業務の都合上出席を見送らざるを得なかった為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は最終年度となり、これまで得られた研究成果を発表するデータおよび機会があり、国内学会への出席・発表予定も複数ある。また、論文投稿に向けた英文校正料や別刷り費用を含めた支出が見込まれている。
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Research Products
(6 results)