2014 Fiscal Year Research-status Report
口腔粘膜遺伝子異常解析による肺がん発生高リスク群検出システムの構築
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26462143
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kure Medical Center |
Principal Investigator |
原田 洋明 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (90573816)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺がん / エピジェネティクス / 分子生物学的マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
肺がん発生高リスク群を効率的に選定できれば、CT検診やPET検診などと連動し、社会全体として低コストでの早期肺がん患者発見に繋がると考え、本研究は、肺がん組織だけではなく容易に採取可能な口腔粘膜を用いた解析を通して、肺がん発生高リスク群の同定に繋がる分子生物学的マーカーの確立を目的としている。 肺がん発生の主因である喫煙・大気汚染などの環境要因は、肺組織のみならず口腔内を含めた気道全域に直接影響をあたえるとの仮説から口腔粘膜に注目し、環境要因に影響を強く受けるとされるDNAメチル化やmicroRNAを指標とした検討を行うことを計画した。 平成26年度は、まず切除した肺がん組織を用いてDNAメチル化異常と臨床病理学的因子についてその関連性を評価した。過去に報告がほとんどない遺伝子を中心に解析を進め、DNAメチル化異常が肺がんにおいて効率に発現する遺伝子、予後と関連する遺伝子、進行度と関連がある遺伝子、併存疾患との関連など幅広い検討を行い、遺伝子プロファイルの作成をすすめた。これまでの検討より、本研究からの派生的結果ではあるが、完全切除された病理病期1期肺がんにおいての術後予後因子となりうるDNAメチル化異常を複数個発見し、国際ジャーナルならびに国際学会で報告した。 口腔粘膜におけるDNAメチル化異常の解析も進めており、肺がん組織の結果(プロファイル)を考慮し、肺がん組織と口腔粘膜との遺伝子異常の関連性などについて検討をすすめている。また環境因子を総合的に表す指標として酸化ストレスに注目し、DNAメチル化異常との関連についても解析を進めており、平成26年度に得られた基盤的な解析結果をもとにした多面的な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去の手術検体である肺がん組織を用いて、エピジェネティクス(DNAメチル化)異常の解析を、過去に検討が為されていない遺伝子を中心に実施し、これまでに複数個の遺伝子について肺がんの予後因子となる可能性について発見した。これらの成果を国際学会で発表並びに国際ジャーナルに投稿し、一部でacceptとなった。 口腔粘膜を用いた解析も進めており、肺がん発生高リスク群の同定に繋がるDNAメチル化異常について、国際学会での発表を予定している。 酸化ストレスについても測定を進めており、肺がんにおけるDNAメチル化異常と酸化ストレスの関連についても、検討を開始した。当初の予定より進んだ部分と、遅れている部分があるため、全体としてはおおむね順調と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
連携研究者の施設からサンプル採取を含めた手続きを進めなければならない。また非がん患者のサンプル数が少ないため、本年度に呼吸器内科患者からも口腔粘膜のサンプル採取を行う必要があると考えており、現在施設IRBへの申請を行う段取り中である。 口腔粘膜を用いた解析で、肺がん発生高リスク群の同定につながる遺伝子異常を発見できない場合でも、COPDなど気道の慢性炎症などとDNAメチル化異常の関連性について解析を進めることができると考えている。
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Causes of Carryover |
国際学会での発表を2回計画していたが1回のみとなったことが最大の理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一部サンプルでまかなってきた研究関連消耗品(器具や薬品)に関して本年度は出費が増加すると考えており、繰り越し分を使用する予定である。
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