2015 Fiscal Year Research-status Report
メカニカルストレスに対する軟骨細胞の小胞体ストレス応答の解明
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26462303
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
水田 博志 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (60174025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 隼 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (40433007)
岡元 信和 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (70600162)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / 機械的刺激 / 低酸素 / AGEs |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】変形性関節症の発症する生体環境を想定して、1. 低酸素条件下、あるいは、2. AGEsを蓄積させた軟骨細胞を用いて、メカニカルストレス負荷の影響を検討すること 【方法と結果】 1. 低酸素状態における検討:生体関節内の環境を再現するために、低酸素下で培養を行った軟骨細胞を用いた。酸素濃度を1%に設定したマルチガスインキュベーターMG-70M内に、周期的伸展刺激(CTS)装置STB-140を設置し、CTSを10%、0.5Hzで負荷した後、qPCRにより小胞体ストレスをXBP1s、GRP78、CHOPの発現で、軟骨細胞機能をCOL2、ACAN、MMP13の発現で評価した。また、アポトーシスをELISAとTUNEL染色によるDNA断片化で評価した。その結果、XBP1sの発現は増加し、GRP78とCHOPはそれぞれ13%、42%の増加、COL2、ACANはそれぞれ26%、35%の低下、MMP13は20%の増加、アポトーシスは33%の増加を認めた。 2. AGEsを蓄積させた軟骨細胞における検討:高齢者の生体内環境を再現するために、AGEsの蓄積した軟骨細胞を用いた。AGEs前駆体Glycolaldehyde(100uM)を添加し、10%、0.5HzのCTSを負荷した後、1.と同様の解析を行った。その結果、XBP1s発現は増加し、GRP78とCHOPはそれぞれ16%、23%の増加、COL2、ACANはそれぞれ22%、26%の低下、MMP13は9%の増加、アポトーシスは24%の増加を認めた。 【考察】低酸素下およびAGEsの蓄積した状態下では、過剰な機械的刺激により小胞体ストレスが増加するとともに、軟骨細胞機能が低下し、アポトーシスが亢進することが示され、生体関節内および高齢者の関節では、力学的負荷による軟骨の変性に小胞体ストレス応答が関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では当初の計画通りに実験を終了しており、すでに来年度の計画に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
【平成28年度の研究計画】 小胞体ストレス関連分子を抑制あるいは過剰発現させた軟骨細胞での検討:力学的負荷による小胞体ストレス応答の分子メカニズムを解明するために、小胞体ストレスセンサー蛋白の遺伝子発現を抑制または過剰発現させた培養軟骨細胞に対し、機械的刺激を行う。ATDC5細胞をITS培地で分化誘導後、PERK、IRE1、およびATF6α遺伝子の発現抑制と過剰発現を行った後、STB-140内で培養し10%CTSを負荷する。解析は平成27年度と同様に行う。
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Research Products
(1 results)