2014 Fiscal Year Research-status Report
D-アミノ酸オキシダーゼが脊髄侵害受容性シナプス伝達に与える影響
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26462346
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
高薄 敏史 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80348052)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | NK1受容体 / サブスタンスP / D-アミノオキシダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
コントロール群として、5-8週雄性ICRマウスの左後肢に2.5%ホルマリンを50μL皮下注し、その後4%パラホルムアルデヒドによる全身灌流固定を行い、脊髄を摘出、クリオスタットにて作製したスライスを用いて免疫組織染色を行った。1次抗体として抗NK1受容体ポリクローナル抗体、2次抗体としてAlexa488、Alexa594を使用し、蛍光顕微鏡を用いて脊髄後角を観察したところ、後角表層(lamina I)に多数のNK1受容体陽性ニューロンを認めた。しかし、サブスタンスP放出の指標となるNK1受容体internalization(内在化)を示すニューロンの数は1切片に2~3個とかなり少なく、いまのところホルマリン誘発性サブスタンスP放出の評価には至っていない。これは、以前使用していた1次抗体が製造中止となっており、別な1次抗体を用いているため観察に至っていないと推測される。また脊髄後角c-Fos発現を評価するために抗Fosポリクローナル抗体を用いて免疫組織染色を行っているが、こちらも蛍光染色されるニューロンが非常に少なく、c-Fos発現の評価に至っていない。理由は不明であるが更なる試行が必要と思われる。今後、サブスタンスP放出の評価として他の方法(ELIZA、放射性同位元素などによる方法)を検討している。 一方、当研究室において以前施行したDアミノ酸オキシダーゼミュータント系マウスを用いたホルマリンテストでは、第2相の有意な増加を認め、D-アミノ酸が侵害受容性シナプス伝達の変化に関与している可能性が示唆されている。さらにこのミュータント系マウスでは、脊髄のNMDAを介したシナプス伝達がコントロールマウスに比し、亢進していることが電気生理学的実験により観察されている。よって実験方法の変更、改善によりサブスタンスPを介したシナプス変化に関しても観察される可能性が高いと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫組織染色において、NK1受容体陽性ニューロンの観察は可能である。しかし第1次求心性線維からのサブスタンスP放出の指標であるinternalizationを示すニューロンの数が少なく、評価に至っていない。 またc-Fosに関しても免疫組織染色による観察には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
以前使用していた1次抗体の入手困難により、NK1受容体internalizationの観察に至っていない。1次抗体の変更による染色を現在行っているが、他の評価方法についても現在検討中である。
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Causes of Carryover |
免疫組織染色に必要な抗体、試薬類購入および研究協力者であるYaksh教授との面談のための渡航費用が必要となり、研究費の前倒し請求を行った。当初、面談を前年度中に行う予定であったが先方との調整がつかず、次年度にずれ込んでしまったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
免疫組織染色に必要な抗体、試薬類およびYaksh教授との研究打ち合わせのための渡航費用。
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