2015 Fiscal Year Research-status Report
子宮筋腫におけるミトコンドリアの形態観察と機能解析
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26462475
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石川 博士 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70553973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生水 真紀夫 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30226302)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子宮筋腫 / 低酸素 / HIF1 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮筋腫における低酸素誘導因子Hypoxia inducible factor-1 alpha(HIF-1α)を介した低酸素反応を検討した。低酸素培養により子宮筋腫細胞でHIF1αのタンパク発現量が増加し、HIF標的遺伝子のmRNA発現も増加することが明らかになり、筋腫ではHIF-1αを介した低酸素反応があることが示唆された。そこで、低酸素培養下でのHIF-1αタンパクのHIF標的遺伝子のHIF反応配列への結合をクロマチン免疫沈降法を用いて検討した。その結果、低酸素培養下でmRNAの発現が増加した3遺伝子(ENO1, LDHA, VEGFA)において、筋腫でHIF反応配列へのHIF-1αタンパクの結合量が増加した。 次に、子宮筋腫組織におけるin vivoでのHIF-1αタンパクの発現を検討した。過去の報告では子宮筋腫組織では、正常子宮筋と同様にHIF-1αの発現はみられない、とされていた。しかし、今回の検討で培養子宮筋腫細胞では低酸素刺激でHIF-1αの発現が誘導されることが確認できた。そこで子宮筋腫組織でもHIF-1αは発現しているが筋腫組織からのタンパク抽出方法に問題があるために検出できていないとの仮説を立てた。子宮筋腫は大量の細胞外マトリックスに囲まれているため、核内タンパクを抽出してウエスタンブロット法で検討したところ、子宮筋腫では正常子宮筋と比較して有意にHIF-1αタンパクの発現量が高かった。 以上より、子宮筋腫組織は生体内で著しい低酸素環境にさらされているため、正常子宮筋に比べHIF-1αタンパク発現量が高いと考えられた。筋腫では低酸素刺激により発現が誘導されたHIF-1αが核内に移行し、HIF転写複合体がHIF標的遺伝子のプロモーター領域に結合し、その転写活性が亢進する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
子宮筋腫におけるミトコンドリア機能異常は、筋腫組織が著しい低酸素環境で発育するために引き起こされると考えられる。ミトコンドリア機能異常を検討する前に、子宮筋腫における低酸素反応を明らかにする必要が生じた。そのため、まず転写因子HIF-1に着目し、子宮筋腫におけるHIF-1を介した低酸素反応を検討する必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮筋腫細胞のミトコンドリア機能解析を行う。低酸素で培養した子宮筋腫細胞、正常子宮筋細胞のミトコンドリア染色、酸素消費量、乳酸デヒドロゲナーゼ活性を測定し、比較検討する。また、子宮筋腫におけるHIF-1を介した低酸素反応は、低酸素刺激12時間後には減弱することが明らかになったため、代わりに別の転写因子を介した低酸素反応が存在する可能性が示唆された。乳癌細胞ではN-myc downstream regulated-1(NDRG1)を介した低酸素反応がHIF-1を介した低酸素反応と別に存在することが報告されている。予備実験で筋腫細胞では低酸素培養によりNDRG1のmRNA発現が誘導されることが明らかになったため、子宮筋腫におけるNDRG1を介した低酸素反応を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度に使用した物品費が予想よりも下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に物品費で使用する。
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