2014 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子治療を目指したCarbonyl reductaseの腫瘍縮小機序の解明
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26462508
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
横山 良仁 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90261453)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Carbonyl reductase / 卵巣癌 / TNFα受容体 / Caspase-8 / NF-κB / c-jun |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト卵巣癌細胞株であるOVCAR-3(漿液性腺癌)とTOV-21(明細胞腺癌)にCarbonyl reductase (CR)のcDNAを導入し、ヌードマウスの皮下に注射し(5×106個)、皮下腫瘍を作製。コントロール群とCR導入群の腫瘍径を移植3週間後まで比較し、腫瘍を摘出。免疫組織学的にTNFR1、TNFR2の発現の違いを検証した。また、TNFR1の活性化により発現していると推察されるcaspase-8や、TNFR2の活性化により発現していると推察されるc-jun、ならびにTNFR1、2により発現し、抗アポトーシスに関与すると考えられるNF-κBについても、その発現の違いを免疫組織学的に検証した。細胞移植後6日目まではCR導入群とコントロール群の間で腫瘍径に差を認めなかったが、9日目にはCR導入群で腫瘍径の縮小を認め、腫瘍を摘出した移植後21日目での腫瘍径はCR導入群で明らかに小さかった。摘出組織のHE染色標本では、CR導入組織で腫瘍の中心部に組織破壊が目立っていた。免疫染色ではTNFR1、TNFR2については両者で染色強度に明らかな違いを認めなかったが、caspase-8はCR導入群でのみ陽性を呈し、NF-κBもCR導入群で発現が強くなっていた。c-junはコントロール群で弱陽性であったが、CR導入群では発現していなかった。CRはTNFRを介した反応のうち、TNFR1の活性化によるcaspase-8が関連する経路でアポトーシスを誘導している可能性が示唆された。この効果はNF-κBによる抑制効果を凌駕している可能性がある。また腫瘍増殖に関連しているc-junの発現を抑制することで腫瘍縮小効果を発揮することも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Carbonyl reductase (CR)が腫瘍形成と腫瘍進展の抑制に働いていることは証明できた。今後はCRを癌細胞への導入する方法(delivery system)を確立することで卵巣癌に対する遺伝子治療の方向性を示す。
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Strategy for Future Research Activity |
CRのdelivery systemについてはデンドリマーを使用したナノテクノロジーを利用する。現在はin vitroでの癌細胞への導入効率を確認中である。導入効率が安定すれば動物実験への応用を予定している。
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