2014 Fiscal Year Research-status Report
KCNQ4遺伝子変異による高音障害・皿形難聴発症メカニズムに関する研究
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26462556
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
内藤 武彦 信州大学, 医学部附属病院, 助教(特定雇用) (50467164)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 難聴 / 遺伝子 / 聴力型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、随時得られるKCNQ4遺伝子変異に基づく難聴者の臨床情報データベースの構築および難聴の経時的/周波数的特徴の解析をおこなった。 具体的には、自他各施設の難聴者の臨床情報のうち難聴の進行、耳鳴、めまい、癲癇などについてデータ収集を行った。特に聴力閾値データについては、周波数的解析を行いまた複数時のデータを可及的に揃え、周波数解析および経時的解析が可能となった。その結果、予備的研究で明らかになっていたc.211delC変異(高音急墜型聴力像)においては60%以上の症例に耳鳴を認めたが、pW276S変異(高音前傾型)やp.V230E(皿型)の例では耳鳴を伴うものは30%以下であり、耳鳴の有無にも遺伝子型との相関が認められることがわかった。周波数解析および経時的解析では、c.211delC変異の聴力閾値は、4000Hz、8000Hzの周波数帯では年齢とともに急速に悪化(80dB程度まで悪化)するのに対して、125Hz、250Hzでは高齢(最高齢70歳代)になっても正常聴力域(20dB以内)を維持することがほとんどであることが分かった。現時点で、遺伝子型と表現型(臨床像)が有意に相関する変異群があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り初年度にデータ収集と解析を行って、遺伝子型と表現型の相関を捉えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降は、前年度までに実施した臨床情報データベースや遺伝子解析結果を基に、周波数特異的な難聴を起こす変異の部位とスプライシングバリアントの関連についての検討を行う。特にc.211delC変異、p.V230E変異、p.W276S変異に関しては典型的な聴力域値波形を有しておりそれらに関連して詳細に検討を行う。 また、H26年度までに得られた各変異部位に関する解析結果を参考に、スプライシングバリアントが予想される部位を検出するプローブを設計し、発現の確認解析を行う計画である。
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