2014 Fiscal Year Research-status Report
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26462577
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊田 周 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00555865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 健二 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40334370)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 嗅覚 / 嗅神経 / 嗅上皮障害 / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生嗅細胞は、嗅覚入力依存的に再生・成熟する。 C57BL/6マウス(10週齢♂)に対して、嗅毒性物質であるメチマゾール75mg/kgを腹腔内に投与した。メチマゾールで嗅上皮を障害すると、数日で新生嗅細胞が再生、分化し、障害後7-14日で成熟嗅細胞が出現し始めることを確認した。障害後28日には、嗅細胞数、支持細胞数、嗅上皮の厚み、成熟嗅細胞数がコントロール群(生食投与)と比較して差が検出されないレベルにまで回復することを確認した。 次に、メチマゾールによる嗅上皮障害後6時間以内に、ケタミンならびにラボナールによる麻酔を行い、シリコンチューブをマウス一側鼻腔に挿入し、片鼻閉マウスを作成した。 嗅上皮障害後の再生過程を継時的に観察すると、障害後14日以降で、鼻閉側の嗅上皮が薄く、鼻閉側の嗅細胞数が開放側と比較して減少していた。さらに、成熟嗅細胞の指標となるOlfactory marker protein(OMP) 陽性細胞数も鼻閉側で減少していた。これは嗅細胞が嗅覚入力依存的に再生・成熟することを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本実験でも、予備実験で設定した作業仮説通りの結果となった。したがって、実験手法の再検討ならびに仮説の再設定をする必要はなく、申請した計画に沿って順調に実験は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
申請した計画に沿って実験を進める。具体的には次の2点を明らかにする。 1.「適切な時期に嗅覚入力を受けないと、新生嗅細胞は成熟せずに細胞死に陥る」 予備実験において、鼻閉側嗅上皮でのカスパーゼ3陽性細胞数は障害後7日では開放側と比較して差はなかったが、障害後14日で、開放側と比較して増加していた。障害後7-14日は新生嗅細胞が軸索を伸ばし、嗅球でシナプスを形成、成熟する時期に一致する。障害後7日以降の嗅覚入力は、組織再生にとって重要な役割を果たし、この時期に嗅覚入力を受けないと、嗅細胞は成熟せずに細胞死に陥る可能性が示唆される。この可能性の検討のため、鼻閉時期を変えたマウスサンプルを作成し、障害後の組織再生、新生細胞の成熟は、嗅覚入力期間ではなく、嗅覚入力時期に依存することを証明する。 2.「嗅上皮障害後の組織学的な不完全再生は、未熟な新生嗅細胞の細胞死によって引き起こされる」 嗅覚入力が遮断されると、新生した未熟嗅細胞の細胞死が増加することを予備実験で確認している。カスパーゼ阻害薬を投与することで、鼻閉側での組織の不完全な再生が抑制されるかどうかを組織学的に検討する。
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Causes of Carryover |
実験の進捗状況が順調のため、当初想定していた予算より少なくなった。 また、長期にわたる実験があり、今年度のみでは使用できず、次年度以降に使用する必要性が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加実験、追加解析、複数年度にわたる実験遂行のため、次年度以降で引き続き経費を計上する必要がある。
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Research Products
(4 results)