2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞治療に分化誘導因子およびマイクロRNA制御を加えた粘膜再生治療
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26462608
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
穐山 直太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (90554238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 智美 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40372776)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生医療 / 口腔咽頭科 / 口腔潰瘍 / 粘膜再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
エピジェネティクスとはDNAの配列変化を伴わない後天的な修飾による遺伝子発現制御機構で、その一つにDNAメチル化が挙げられる。ゲノムDNAはCpG配列のシトシンがメチル化修飾を受け、例えば転写開始点上流のCpGアイランドの低メチル状態は転写活性化、高メチル状態は転写抑制に働き、その他の領域も含めDNAメチル化はリプログラミングを担う重要な機構の一つと考えられている。 平成27年度は口腔粘膜再生過程でのエピジェネティックな動態解析を行う目的でDNAメチル化状態を免疫組織学的に解析した。S期のマーカーとしてPCNAを用い、DNAメチル化の指標として5mC、脱メチル化の指標として5hmCを用い、メチル基転移酵素についてメチル化維持酵素のDnmt1、新規メチル化酵素のDnmt3a、3bを用いた。 用いた口腔潰瘍モデルは潰瘍形成後2日目で上皮が伸長し、 4日目で上皮化が完了し、5日目で再生上皮が肥厚し、その後肥厚が減弱するが、PCNAを用いた解析により再生上皮の増殖活性のピークは5日目であることが確認された。DNAメチル化状態は正常口腔粘膜では基底層で5mCが高発現、基底上層で5hmCが高発現であり、潰瘍モデルでは基底層の発現パターンは同様であったが、潰瘍形成後5日目の肥厚再生粘膜の基底上層では5mCのシグナルが低下した。そこでメチル基転移酵素の解析を行ったところ、 新規メチル化酵素のDnmt3a、3bは2日目に、維持メチル化酵素のDnmt1は5日目に有意に低下し、すべてのDnmtが6日目に回復することが示された。 以上の結果から本モデルでは潰瘍形成後5日目に再生上皮が細胞増殖から分化誘導へ切り替わるタイミングとして重要である可能性が示唆され、メチル化レベルが低下した細胞のキャラクターやその際転写活性が変動する分子を特定することで口腔粘膜再生の新たな治療戦略の可能性につながると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本となる動物実験モデルの解析が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔潰瘍動物実験モデルの解析を進め、培養細胞実験も並行し、ラット生体内での細胞治療の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
vivo実験は順調に進み、モデル数が最小限で済んだため余剰が生じた。なお、vitroの系は次年度に一部先延ばしにしたためあわせて余剰が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
先延ばしにしたvitro実験に使用予定である。
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