2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26462649
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中靜 裕之 日本大学, 医学部, 助教 (10372997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 京子 日本大学, 医学部, 助教 (30297824)
島田 宏之 日本大学, 医学部, 教授 (40162680)
山本 篤志 日本大学, 医学部, 助教 (00738213)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 黄斑上膜 / 変視症 / 大視症 / 視力 |
Outline of Annual Research Achievements |
黄斑上膜は黄斑部に生じた線維性膜組織であり、視力低下、変視症(物が歪んで見える)、大視症(物が患眼で大きく見える)などを生じる疾患である。治療には視力が低下した際に硝子体手術を行うことが一般的である。術前視力の良いほうが術後視力もよいことが分かっている。最近では術後のQuality of visionには変視症の関与が大きいこと、大視症は術後も残りやすいことが報告されている。我々は早期の視力良好な段階で手術を行うことで変視症、大視症ともに改善すると仮説を立て研究を行っている。 現在まで、40名の登録を予定し、25名の登録を得た。術前視力はETDRS視力で術前平均86.5文字、術後1か月で87.5文字、術後3か月で88.9文字であり有意差は上昇はなかった。術前変視は縦変視は術前0.72が術後1か月で0.35、術後3か月で0.30と有意に改善した。横変視は術前0.73から術後1か月で0.26、術後3か月で0.19と有意に改善した。大視症の縦成分は術前2.6%、術後1か月で2.9%、術後3か月で2.2%であり、横成分は術前3.4%、術後1か月3.1%、術後3か月で2.9%で有意差はなかった。1年間の経過観察を予定しているが短期経過観察では早期視力において変視症の改善は効果的であるが、大視症については有効性を見いだせていない。しかし、さらに15名の症例の増加、長期経過観察により大視症の結果も変わる可能性がある。また、6か月以上の経過観察で読書速度の改善、VFQ-25を使用したQuality of visionの評価が今後可能となる。また、これまでに1例も手術による合併症や視力低下例は生じていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
プロトコールの倫理委員会の認証の遅れに伴い、研究の開始が大幅に遅れた。また、視力良好の黄斑上膜患者で手術希望患者が少ない時期もあった。高齢者になる白内障の影響がありコントラスト感度の低下もあるので、そのような症例は対象から除外している。また、壮年者では仕事が忙しく長期経過観察は困難などの理由で断られるケースもあった。このような理由で予定参加人数が満たされていない現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後2か月で残り15名の参加を目標にし、参加協力を積極的に促していきたい。視力良好例の研究を施行していることが周辺機関に認知されてきており最近は視力良好例患者の紹介が増加しているので目標数の達成は十分に可能であると考えている。2か月での症例登録が間に合わない場合でも最低でも期間終了中に経過観察6か月のデータを揃えられるように7月までには症例登録を終了する予定である。
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Causes of Carryover |
より早期の改善を目指し、27ゲージでの硝子体手術を行っているため、創口が小さく黄斑上膜の摘出が困難であり、病理学的検討が十分に行えず試薬購入などが少ないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文作成費用、統計ソフト購入などへの使用を予定している。
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