2014 Fiscal Year Research-status Report
重度熱中症における中枢神経障害の発症機構の解明と新規予防・治療法の開発
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26462769
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
土肥 謙二 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (20301509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大滝 博和 昭和大学, 医学部, 講師 (20349062)
小川 武希 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90119769)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熱中症 / 神経損傷 / フリーラジカル / 酸化ストレス / 治療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は環境因子起因性疾患である熱中症が近年増加していることを踏まえ、重度熱中症の発症機構と病態について特に予後に大きく影響する脳障害を中心に詳細に検討を行うことを目的に遂行している。さらにその原因のひとつと考えられているサイトカイン・フリーラジカルの病態への関与と新規抗フリーラジカル療法である水素による新規治療法の開発について検討を行う予定である。平成26年度は熱中症モデルにおけるサイトカインや酸化ストレスの計測を行う予定であった。しかし、至適な動物モデル作成に時間がかかったために、これらの計測は次年度に行うこととした。また、熱中症による脱水が研究結果に影響する可能性について検討する目的で以下の検討を行った。【方法】雄性成熟マウス(約30g)に埋め込み型体温計挿入し継続的に体温測定(5分間隔)をおこなった。暑熱曝露3時間前から飲水制限を実施し脱水状態とした。水飲水群[(n=7) 脱水負荷後、暑熱曝露直後に水を30ml/kgを経口投与], 経口補水液飲水群[(n=7) 脱水負荷後、暑熱曝露直後にOS-1を30ml/kgを経口投与]の2群に分け、暑熱曝露(41℃, 60分, 相対湿度80±10%)をおこなった。深部体温変化(曝露時最高体温・曝露後最低体温)・正常体温復帰時間について比較・検討した。次に、別の水飲水群(n=11)、経口補水液飲水群(n=11)について同様の暑熱曝露をおこない、曝露前・直後・6時間後に採血をおこない比較・検討した。【結果】経口補水液群では水飲水群と比較して正常体温復帰時間が有意に短縮した。血液検査では経口補水液群で水飲水群と比較して暑熱曝露6時間後のHb値の有意な低下を認めた。【結論】本検討から、平成27年度からの使用する動物モデルに補水液を飲用させることを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の予備実験として動物モデルについてはすでに確立していたが、熱中症の重症度のターゲットを重症熱中症と考えていたため、既存のモデルを少し変更することが余儀なくされた。その結果として至適モデルの作成に時間がかかった分、当初の予定であった、各種マーカーの計測ができなかった。平成27年度以降にこれらの検討を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度より重症熱中症モデルの脳における酸化ストレス、抗酸化マーカー、各種サイトカインの計測を順次行っていく予定である。可能であれば水素水を用いた新規治療法の開発についても行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
モデル動物の確立に時間がかかり予定より研究が遅れてしまったため、当初に各種サイトカインや酸化ストレスマーカーの計測にかかる費用について次年度へ繰り越されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は当初に各種サイトカインや酸化ストレスマーカーの計測費かかるので、そのために使用する計画である。
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