Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 新規に確立したマウスES細胞およびiPS細胞由来高純度象牙芽細胞の培養後に界面活性剤を灌流して, 象牙芽細胞由来の脱細胞化した細胞外マトリックス(象牙芽細胞擬態マトリックス)を作成し, マウスES細胞およびiPS細胞を用いて歯髄組織の再細胞化の効率と適正条件を生化学的手法を用いて基礎的検討を行う. さらに, ラットを用いたin vivoにおいて, 摘出した歯を基盤鋳型として, 再細胞化した歯髄組織の再生を観察することで, 従来の歯髄保存治療であるう蝕治療法や覆髄法に代わる新規な歯髄再生モデルを構築することを研究目的とする. 平成26年度の具体的到達目標は, マウスES細胞およびiPS細胞由来高純度象牙芽細胞の誘導および培養後に, 界面活性剤を灌流して, 象牙芽細胞由来の脱細胞化した細胞外マトリックス(象牙芽細胞擬態マトリックス)を作成し, そのマトリックス上に, マウスES細胞およびiPS細胞を播種し, 歯髄組織への再細胞化の効率と適正条件を生化学的手法を用いて検討することであり, 以下の結果を得た. 1, 象牙芽細胞擬態マトリックスの精製: 通法に従い, マウスES細胞およびiPS細胞から高純度象牙芽細胞を分化誘導後, 細胞を播種し, Triton-X, SDSおよびTweenにて処理後, 象牙芽細胞擬態マトリックスの作成を行った結果, 10% Triton-Xが象牙芽細胞擬態マトリックスの精製に最適であることが明らかとなった. 2, 象牙芽細胞擬態マトリックスの再細胞化の効率の検討: 10% Triton-Xを用いて精製した象牙芽細胞擬態マトリックス上に, マウスES細胞およびiPS細胞を播種し, 細胞増殖能, 細胞接着性および細胞運動能について検討を行った結果, 統計学的有意な細胞増殖能, 細胞接着性および細胞運動能が観察された.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, 象牙芽細胞由来の脱細胞化した象牙芽細胞擬態マトリックスとマウスES細胞およびiPS細胞を用いた, 歯髄組織への分化メカニズムについて生化学的手法を用いて, 基礎的検討を行う. さらに, ラットを用いたin vivoの実験系において, 摘出した歯を基盤鋳型として歯髄組織の再細胞化(歯髄再生)を組織学的に検討する.
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