2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞集合体システムと凍結乾燥技術を融合した新規骨移植材の開発
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26462969
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 淳一 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50530490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今里 聡 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80243244)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯学 / 組織工学 / 再生歯学 / 生体材料学 / 骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、骨様組織体作製技術と凍結乾燥技術を組み合わせることによる新規骨移植材の創製を目的としており、平成26年度は、凍結乾燥処理によってもたらされる組織体の内部構造や酵素活性の変化を評価した。骨様組織体をタンパク質保護溶液であるクエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、および各緩衝液にスクロースを添加した水溶液に浸漬した後に凍結乾燥処理を行い、各組織体のアルカリフォスファターゼ(ALP)活性を定量したところ、リン酸緩衝液にスクロースを添加した水溶液が、最も安定したALP活性維持作用を有していることが分かった。さらに、凍結乾燥処理時間による組織体内のALP活性量の変化について検討を行ったところ、処理時間が1時間と6時間のサンプルにおいてALP活性量に有意な差は認められなかった。また、凍結乾燥処理が骨様組織体の形態に与える影響を検討することを目的に、培養50日までの骨様組織体を作製し、凍結乾燥処理前後の各組織体の大きさを比較した。その結果、培養期間が長期になるにしたがって、凍結乾燥による体積の収縮が抑制されることが分かった。このことは、骨様組織体を長期培養することで内部に細胞外基質がより多く産生された結果、凍結乾燥による収縮が抑制されたものと考えられた。さらに、凍結乾燥処理後の組織体の走査型電子顕微鏡観察を行ったところ、凍結乾燥処理によって組織体および組織体を構成する細胞の形態に変化はみられなかった。以上のように、平成26年度の研究において、骨様組織体の凍結乾燥処理に最適なタンパク質保護溶液を探索し、新規骨移植材を創製するための凍結乾燥処理条件を決定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度においては、骨様組織体に適した凍結乾燥条件を探索することを目的としていた。研究実績の概要に示した通り、凍結乾燥処理によってもたらされる骨様組織体の構造や酵素活性の変化について評価を行うことで、組織体に最適な凍結乾燥処理条件を決定することに成功した。 以上のことから本研究は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度においては、骨様組織体を原材料とした、骨再生に最も有効な骨移植材作製プロトコルを確立することを目的として、平成26年度に確定した凍結乾燥処理条件を採用してin vitroおよびin vivoにおける検討を行い、骨再生能を評価する。具体的には、凍結乾燥処理後の組織体内に含まれる細胞外基質や増殖因子の定量評価を行い、その組成や血管誘導能を評価する。また、凍結乾燥処理後の組織体をラット頭蓋骨欠損モデルに移植することによって、骨誘導能の評価を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画の進展にともない動物実験開始およびデータ解析のための助成金前倒し支払い申請を行ったが、動物実験に係る機器、消耗品の準備や実験プロトコルの確立に期間を要したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においても研究遂行に係る消耗品は、研究計画に則り必要性を吟味し効果的に使用する。具体的には、次年度はin vitroとin vivo両方の実験系を含むため、ともにその評価方法として同様の手法を取り入れることで、研究費の使用効率化を図る。また次年度では、多くの研究成果が得られると予想されることから、成果発表(学会発表、論文発表)に係る費用は、平成26年度と比較して多く使用することを計画している。
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