2014 Fiscal Year Research-status Report
歯槽骨再生におけるHSPGを介したエクソソーム取り込みのメカニズム
Project/Area Number |
26463087
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
KA 井上 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90302877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡 一平 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10431941)
粂井 康宏 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30161714)
横山 三紀 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70191533)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロテオグライカン / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘパラン硫酸プロテオグライカン (HSPG) は細胞外マトリックスの主要な活性分子の一つであり、成長因子やサイトカインと相互作用する。しかし、HSPG は細胞外での機能に加えて、細胞表面から細胞内への巨大分子の取り込みにも関与する。増殖因子、サイトカイン、リポタンパク質、核酸、病原体などが HSPG 依存的にエンドサイトーシスされ、これらの細胞に対する作用や細胞内輸送を調節していると考えられる。エクソソームは脂質二重膜を持つ小胞で、細胞から分泌され、他の細胞に取り込まれる事で、細胞間の情報伝達や分子の転送に重要な役割を果たしている。最近、HSPGがこのエクソソームの取り込みに関与している可能性が示唆された。最近の報告では、エクソソームの持つ情報伝達の機能の一つとして骨形成を促進する働きを持つ可能性が強く示唆されている。そこで、通常状態と骨形成因子で活性化させた状態の骨芽細胞および破骨細胞由来のエクソソーム及びHSPGのキャラクタリゼーションに関する以下の実験検討を行った。①生化学的及び生物学的手法を用いて、前骨芽細胞及び破骨細胞のそれぞれの状態におけるHSPGの発現を調べた。②エクソソームマーカー分子としてCD63及びLysosome-associated membrane proteins (LAMPs) の検出条件を検討・確立し、各細胞における発現を調べた。③種々の前骨芽細胞の培養条件下で、OptiPrep 密度勾配遠心法に基づいた前骨芽細胞由来のエクソソームの精製方法の条件を検討し、至適な条件を確立した。現在、通常状態の骨芽細胞由来エクソソームのキャラクタリゼーションを進行中である。また、今後研究を推進する上でに有益な情報として、細胞内に形成される小胞の分離方法を確立し、LC/MS法 を用いて小胞のキャラクタリゼーションを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前骨芽細胞、及び破骨細胞由来のエクソソームのキャラクタリゼーションを行うために、高純度のエクソソームの調整が重要と考えられる。実際、同じ細胞からエクソソームを調整しても、精製方法もしくは細胞培養条件によって、全く異なる解析結果が得られる事が最近の報告によって明らかとなっている。よって、精製方法もしくは細胞培養条件によって、本研究成果にとって重要となる次世代シーケンサーや液体クロマトグラフィー質量分析を用いた解析結果に大きな影響を及ぼす事が考えられ、これらの慎重な条件検討が必要であると判断した。そこで、分化誘導の細胞培養条件の再検討を追加で実施する事とした。また、エクソソームの精製方法の条件検討にも取り組んだため、実験の遅れが発生した。現在、エクソソームの精製方法を確立し、サンプルの作成中である。更に、免疫細胞化学及び生化学的手法によるHSPGやエクソソームのマーカータンパク質を検出するための完全なプロトコールの確立が必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、液体クロマトグラフィー質量分析法 (LC/MS法) を用いて、前骨芽細胞及び破骨細胞由来のエクソソームに存在するタンパク質を同定する。さらに、活性型vitamin D3存在下で培養した骨芽細胞および破骨細胞において、エクソソームの膜を蛍光標識する (代謝標識法)。蛍光標識されたエクソソームを精製し、蛍光標識エクソソームの取り込みを共焦点顕微鏡で観察する。RT-PCRおよびWesternブロットなどの生化学的手法を用いて、前骨芽細胞 (MC3T3-E1) および破骨細胞 (RAW246.7) で発現しているHSPGを同定する。
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Causes of Carryover |
実験の遅れが発生したため、今年度中に主な経費として計画に入っていた「本学共同実験設備の分析機器使用料」は計画より使用回数は少なかったため、次年度使用額が生じた。さらに、抗体を購入したとき、キャンペーン価格で購入が可能になったため、予算が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、液体クロマトグラフィー質量分析法 (LC/MS法) を用いてエクソソームに存在するタンパク質の同定を行うために、抗体及び質量分析用試薬が必要である。共焦点顕微鏡での観察において、細胞内小器官やエクソソームの膜の可視化のための試薬や抗体が必要である。さらに、質量分析機器や共焦点顕微鏡が設置されている本学共同実験設備の分析機器使用料のために経費が必要である。また毎年行われる、日本生化学会学大会での研究成果発表のため、旅費が必要。
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