2014 Fiscal Year Research-status Report
非咬合モデルマウス咀嚼筋の生後発達過程におけるエピジェネティクス制御機能の解明
Project/Area Number |
26463127
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
成山 明具美 鶴見大学, 歯学部, 助教 (90440304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 準 鶴見大学, 歯学部, 助教 (00282765)
福井 只美 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (10267544)
朝田 芳信 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20184145)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非咬合モデルマウス / 咀嚼筋 / 生後発達 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
歯が欠損することにより咀嚼筋の機能低下はもとより身体においても様々な問題を引き起こす。咀嚼筋は体幹や四肢の筋とは進化、発生、細胞生物学的な性質が異なっている。例えば、発生学的起源が体幹や四肢の筋では体節であるのに対して、咀嚼筋では不完全体節節であることや、筋の分化マーカーであるMyoDの発現が四肢の筋と比較し胎生期での発現のピークが遅いことなどが挙げられる。 microRNAは20から25塩基の一本鎖RNAで、遺伝子の発現を調節する機能を有する非翻訳機能性RNAの一種で、microRNAは発生、細胞増殖、細胞分化、アポトーシス、代謝などの広範な生物学的プロセスに重要な役割を担っている。 本年度の研究においては野生型マウス骨格筋の生後発達過程において発現するmicroRNAの発現量を測定し、そのターゲットとなる遺伝子の蛋白質およびmRNAの発現量について解析した。咀嚼筋と四肢の筋肉ではmicroRNAによってその発現パターンが異なり、さらにそのターゲットとなる遺伝子発現においても差がみられた。筋の生後発達過程において、microRNAの発現量の増加にともなってターゲット遺伝子の蛋白質の発現量は減少したが、mRNAの発現量は変化がなかったことから、microRNAはtranslational levelではなく、transcriptional levelにおいてターゲット遺伝子の発現を抑制的に調節していることを明らかにした。今後は非咬合モデルマウスであるmi/miについても解析し比較検討することにより、咬合の欠如がもたらす咀嚼筋の性質について解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、野生型マウス咀嚼筋の生後発達において、骨格筋に関連していると報告のあるmicroRNAの発現量を測定した。またそのmicroRNAのターゲットとなりうる遺伝子の蛋白質、mRNAの発現量を解析し、野生型マウス咀嚼筋の生後発達に関与するmicroRNAがターゲットとなる遺伝子を抽出し、mRNAの転写後遺伝子発現を抑制しているという結果を導いた。現時点においては、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、非咬合モデルマウスであるmi/miの咀嚼筋においても生後発達に関与するmicroRNA、蛋白質、mRNAなどを解析し、これまでに得られた研究結果と比較検討する。また、野生型マウス、mi/miマウスそれぞれの咀嚼筋においてゲノムDNAを調整し、得られたDNA断片を網羅的に解析して塩基配列を決定する。さらにマウス咀嚼筋の生後発達を調整している遺伝子のプロモーター領域におけるメチル化の程度を測定する。得られた結果を野生型とmi/miで比較することにより咬合が欠如した咀嚼筋の生後発達におけるメチル化の関与を明らかにし、咀嚼筋の性質の調節機序を考察する。
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Causes of Carryover |
本研究に使用する予定のmi/miマウスは一般的なマウスに比べると繁殖が難しく、平成26年度内に予定したサンプル数に満たなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
mi/miマウスのサンプリングが終了後に、microRNAの発現量、そのターゲットとなる蛋白質およびmRNAの発現量の解析や、メチル化DNA領域濃縮シークエンス解析、バイサルファイトシークエンス法に使用する試薬・器具を購入する予定である。
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Research Products
(4 results)