2016 Fiscal Year Research-status Report
感染性心内膜炎に及ぼす歯周病原細菌感染度と炎症性サイトカインとの関係
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26463135
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
二宮 雅美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (10291494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 俊彦 徳島大学, 本部・理事, 副学長 (10127847)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 感染性心内膜炎 / 歯周病 / 歯周病原細菌 / 血清抗体価 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
感染性心内膜炎(Infective endocarditis:IE)は、心内膜や弁膜に細菌を含む疣贅(vegetation)を形成し、菌血症、塞栓症、心障害など重篤な臨床症状を呈する感染症である。感染経路として口腔内細菌による感染がいわれているが、不明な点が多くエビデンスが十分といえないのが現状である。 本研究では、心弁膜症患者の歯周病原細菌感染度と炎症性サイトカイン発現量から、感染性心内膜炎が発症するリスクを統計学的に検索し、感染性心内膜炎との関連性が指摘されている歯周病原細菌が心臓に与える影響について検討することを目的にしている。被験者を集積するにあたり、県内で一番心弁膜症患者数の多い徳島赤十字病院心臓血管外科に協力をいただき、心弁膜症の既往のある患者のうち研究の同意が得られた者を被験者とした。研究実施にあたり、徳島赤十字病院臨床研究倫理審査委員会に申請書を提出して審査・承認を受けた。被験者には十分なインフォームドコンセントを行い、同意書に署名をいただいた方のみを対象とした。感染性心内膜炎(IE)の発症歴のある心弁膜症患者、および感染性心内膜炎(IE)を発症していない心弁膜症患者において、口腔内診査、X線写真による歯槽骨吸収の診査、唾液による歯周病原細菌検査、採血による歯周病原細菌の血清抗体価の測定と炎症マーカー(TNF-α,IL-6,CRP)の測定を行い、歯周病の進行度と感染性心内膜炎の発症リスクとの関係を統計学的に検討することとした。 現時点では、合計78名の心弁膜症被験者の資料を集積している。感染性心内膜炎(IE)発症歴のある被験者は、発症していない心弁膜症患者と比較して、歯槽骨が約30%吸収しており、要抜歯数が3倍以上高かった。また、P.g菌(filmA遺伝子型 2型)の検出が2倍以上高値に検出され、細菌に対する抗体価が基準値以上であるという結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
一昨年までは、順調良く集積したデータをまとめて学会発表を行い、論文作成にとりかかっていた。しかし、昨年に研究代表者の親族が要介護状態(介護度3)となり、介護休暇をとる必要があったため研究データの集積、論文作成が思うように進められない状況となってしまった。公共の介護支援を受けることで、現場復帰し研究が進められるようになったため、被験者の試料集積を再開しながらこれまでの研究成果を論文にまとめる予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき、今年度前半は研究代表者および研究協力者として医員2名が検診を行い、問診と口腔内診査を行う。口腔内診査に関しては、残存指数、プラーク指数、歯周ポケット検査、歯肉出血指数、歯の動揺度、X線写真による歯槽骨吸収の診査を行う。さらに、採血による歯周病原細菌の血清抗体価と炎症マーカー(TNF-α,IL-6,CRP)の定量も継続する。 歯周ポケットやX線写真による歯槽骨吸収の結果から、歯周病の進行度を軽度、中等度、重度の3つに分類し、感染性心内膜炎発症患者は、発症していない心弁膜症患者と比較して、細菌感染度、血清抗体価、炎症マーカー(TNF-α,IL-6,CRP)が高値を示すかということについても、さらに被験者を増やして統計学的に検索する。得られたデータは、Wilcoxonの順位和検定を行って有意差を評価し、論文作成する予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者が、要介護3の親族の在宅介護のために一時介護休暇をとる必要が生じ、データの収集、解析が十分に進まず繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、昨年度に引き続き被験者の試料集積を継続する。また、データの統計解析および得られたデータの学会発表や論文作成も予定しており、現在論文は作成中である。次年度の研究費は、試料解析の外部委託(BML)や学会発表や論文作成の費用に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Association between periodontal condition and kidney dysfunction in japanese aduls: A cross-sectional study2016
Author(s)
Koji Naruishi, Keiji Oishi, Yuji Inagaki, Masumi Horibe, Mika Bando, Masami Ninomiya, Kazuhiko Kawahara, Jun Minakuchi, Shu Kawashima, Kenji Shima, Jun-ichi Kido, Toshihiko Nagata
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Journal Title
Clinical and Experimental Dental Research
Volume: 1
Pages: 1-8
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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