2015 Fiscal Year Research-status Report
気管内吸引による粘膜損傷に栄養状態が及ぼす影響についての基礎的研究
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26463212
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
平野 昭彦 岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (30305255)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 動物実験 / ウサギ気管 / ELISA / ラミニン / フィブロネクチン / コラーゲンⅣ型 / 栄養状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
健常と絶食のウサギを用いて、低栄養になった場合、気管組織の基底膜中のラミニン、フィブロネクチンと粘膜固有層中のⅣ型コラーゲンの量が減少しないかを検討する実験を行った。 通常通り給餌した健常群と水のみを与えて絶食させた絶食群ウサギを安楽死させて気管を摘出した。摘出した気管を精秤後、ポリトロンホモジナイザーで100mgあたり1mlのPBSとともに破砕し、その後、-30℃での凍結と融解を2回繰り返して組織を破壊し、5,000×gで5分間遠心分離後、上清組織抽出液(試料)を得た。測定は、ELISA法により、測定キット(CUSABIO社製)を用いて行った。健常ウサギは実験日に、絶食したウサギは、絶食前と絶食後(実験日)に採血をして血清中の総蛋白質とアルブミンを測定した。有意差検定は、studentのt検定を用いて行い、危険率5%以下で評価した。 第1回実験では、健常群5羽(実験日21~26週齢)、絶食群5羽(実験日26~30週齢)を使用した。健常群と比較して絶食群のフィブロネクチンとラミニンは有意に低下していた(p<0.05)。Ⅳ型コラーゲンも低下していたが有意ではなかった。 第2回実験では、健常群5羽(実験日25~26週齢)、絶食群6羽(実験日25~27週齢)を使用した。健常群と比較して絶食群の3種類の蛋白質はいずれも低下したが有意ではなかった。 血清中の総蛋白質とアルブミンは、2回の実験とも絶食後は絶食前より有意に低下していて低栄養状態であった。 2回の実験ではいずれの蛋白質も絶食群は健常群に比べて低下傾向にあったことから、栄養状態が低下することにより特にフィブロネクチン、ラミニンの産生は低下している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
絶食により低栄養状態のウサギを作製することができた。この低栄養ウサギと健常ウサギを使用して、予定していた気管組織中のラミニン、フィブロネクチン、Ⅳ型コラーゲンを測定する実験と分析ができた。 しかし、共同研究者はそれぞれの教育、研究の仕事もあるために3人の都合が一致できる日時に調整が必要で実験日を決定するまでに時間を要した。また、摘出した気管を粉砕処理した試料に凍結と解凍を繰り返す処理をし、ELISAを反応させる必要であるためにまとまった時間を要するのだが、そのまとまった時間がなかなか取れなかった。分析結果を出すまでに時間を要して学術集会の演題申込みに間に合わず、予定していた学術集会に発表ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
健常と低栄養のウサギを比較した気管組織中のラミニン、フィブロネクチン、Ⅳ型コラーゲンの分析結果についてまとめて報告書を作成する。分析結果を学術集会で発表し、学会誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
学術集会での発表を予定していたが、分析結果が申請締め切り期日に間に合わなくて発表できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に学術集会で発表の予定である。
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