2016 Fiscal Year Research-status Report
虚血性心疾患患者のリスク認識に焦点をあてたセルフマネジメントプログラムの開発
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26463321
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
加賀谷 聡子 杏林大学, 保健学部, 教授 (10325920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 恵美子 杏林大学, 保健学部, 教授 (10449001)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セルフマネジメント / リスク認識 / 虚血性心疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた虚血性心疾患患者のセルフマネジメントを促す患者教育プログラムを検討する目的で文献検討を行った。日本においては虚血性心疾患患者の自己管理に関する介入研究はまだ少なく、対象者数の少ない小規模な研究が多いため、欧米の介入研究を中心に文献を検討した。 その結果、教育プログラムの内容として、知識の提供に加えて、セルフモニタリングやモデリング、認知の再構築などの内容を含んだ介入が実施されていた。また、教育プログラムの実施後に電話などを用いて定期的なフォローアップを行うものも多く見られた。 教育プログラムの評価に関しては、心臓リハビリテーション参加率や予定外の再入院率、質問紙を用いて測定された自己管理行動の変化などのアウトカムで評価されていた。また、介入効果については、1年以上の長期間にわたり頻回な介入を実施している研究において高い効果が報告されており、長期間の継続的な介入がより効果的であると考えられた。しかしながら、心臓リハビリテーションに参加していない患者の場合、長期間の頻回な介入は現実的に難しく、短期間で実現可能なプログラムを検討していくことが望ましい。それに関連して、HAPA(Health action process approch)モデルを用いた前向き研究において、変化のプロセスの早期にはリスク認識、維持期には自己効力感に焦点をあてた介入が有効であることと、高血圧患者と比較した場合、虚血性心疾患患者は比較的早期に行動変化が生じることが報告されている。更に、患者の認識の変化を促すためには、ピアグループによる介入の有効性も指摘されている。これらの結果より、変化のプロセスに合わせた介入を実施すること、およびリスク認識に焦点をあてて体験を語る機会を組み込むことで、短期間の介入であっても効果的なプログラムを実施できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は教育プログラムの原案を完成させ、実際の介入の際のプロトコールの検討、倫理審査およびフィールドとの調整後に、パイロットスタディおよび実際の介入につなげていく予定であったが、研究代表者の体調不良および入院による研究の中断の影響もあり、プログラム原案の検討や研究のプロトコールの検討を行うことが難しく、予定よりも遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は教育プログラムの修正をはかり、指導教材および教育プログラムに対する循環器専門医や循環器看護のエキスパートの意見を参考にしながら、妥当性を検討していきたい。また、対象者のリクルート方法の検討やフィールドへの協力要請など環境調整を行い、実際の介入に向けた準備を整え、パイロットスタディにつなげていきたい。また、研究の進度が遅れたことで、対象者数が当初の予定よりもかなり少なくなる可能性が考えられるため、研究デザインおよび介入効果の評価方法についても、当初予定していた質問紙による統計的検定のみではなく質的データも加えていくなど、再度検討していく必要があると考えている。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、教育プログラムの教材の印刷費およびプログラム実施の際に必要となる関連物品の購入費、研究対象者に対する謝礼などに使用する予定であったが、研究の進捗状況に遅れが生じ、介入にまで至らなかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した助成金は、患者教育プログラムを実施する際に必要となる物品の購入費および研究対象者への謝礼、教材印刷の追加の必要が生じた場合の印刷費、更には研究結果を発表するために学会に参加する際の旅費としても使用することを考えている。
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