2014 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の難聴が配偶者の身体的・心理的健康及び活動・参加に及ぼす影響の探索
Project/Area Number |
26463459
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 紀代美 名古屋市立大学, 看護学部, 教授 (60269636)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 公昭 立正大学, 心理学部, 教授 (10237703)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 加齢性難聴 / 配偶者 / ストレス / 社会参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、難聴高齢者の家族である配偶者が、難聴の高齢者のコミュニケーションや生活の中でどのようなストレスや社会参加への制限を感じているのか、また、それらに関連する要因を検討することを目的としている。 本年度は、その一年目であり、当該年度の計画は二つである。一点目は、本研究の主要な概念である難聴高齢者の配偶者のストレスに関する文献の検討を行うことである。難聴高齢者の配偶者に関する文献は、これまでにいくつか検索されているものはあるが、スカリンシの作成した尺度(Significant Other Scale for Hearing Disability (SOS-HEAR))以上のものは見つけられなかった。そこで、手始めにスカリンシの作成した尺度の翻訳の許可を著者に得ることから始めた。数回のメールでの依頼を通して、著者より翻訳許可の受諾を得ることができた。その後、共同研究者とともに翻訳作業に入り、第一段階の和文への翻訳は終了した。二点目は、難聴高齢者と共に暮らす配偶者のストレスの実態を把握するためのインタビュー調査のための対象者の確保である。このために、地域在住高齢者を対象に難聴に関する講演会を開催した。講演会では、難聴の高齢者本人への影響を話すとともに、共に暮らす家族への影響を説明することで、研究対象者の募集も同時に行った。その結果、講演会参加者60人の内の約5割の研究協力候補者を得ることができた。しかし、研究参加候補者は単身者が多かったことと、夫婦二人暮らしであっても難聴を認めないケースも多く、調査対象者としては3組の確保にとどまった。。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、第一の目的として、本研究で用いる概念である難聴高齢者の配偶者のストレス及び配偶者本人の社会活動等への参加抑制等に関する文献を探すことであった。文献検討においては国内外含めて幅広く実施した結果、スカリンシの論文以外には該当する論文を得ることができなかった。そこで、本尺度を検討するにあたり、尺度の作成者への翻訳の許可を交渉し受諾を得ることができ、翻訳を開始した。しかし、和文への翻訳で終わっており、それらの翻訳が使用可能か否かの検討にまで達することができていない。 さらに、本研究計画の第二の目的は、難聴高齢者と暮らす配偶者の体験しているストレスの内容を聞き取るための対象者を10人程度確保することであった。しかし、今年度末までに、3人の確保にとどまった。 以上から、第一の目的は多少の遅れがあり、第二の目的については、一部のみの達成であるため、「やや遅れている」との達成度となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究計画において、第一の目的については、使用可能な尺度の和訳は終了したものの、バックトランスレーションによる確認までは至っていないことから、早急にその作業に取りかかる予定である。また、第二の目的については、一部未達成であったものの、平成26年度末において、研究対象者確保のための講演会開催について、地域の福祉団体との間で複数回の開催の内諾が得られていることから、目標値である10人の確保はほぼ確実と考えられる。
|
Causes of Carryover |
今年度の文献検討については、図書館に所蔵している蔵書や雑誌を中心に検討したために、文献講読に関する予算をあまり使用しなかったことも次年度使用額が生じた理由の一つである。さらに、文献の検討にあたり、本研究に使用する候補とした尺度の分析段階が、和文への翻訳で終わっている点である。使用するにあたっては、専門家によるバックトランスレーションおよび文言の再検討の段階を踏む必要があるが、ここまで到達できなかったため、謝金の使用も少なくなっている。さらに、3点目として、聞き取り調査の研究対象者選定のための広報活動も十分でなかったことも理由として挙げられる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、アンケート調査に使用予定の尺度の翻訳を専門家による概念の分析やバックトランスレーション及び文言の検討などを実施するために、謝金として使用する計画である。さらに、計画上10人の確保が予定されていた聞き取りのための対象者が26年度は3人の確保にとどまっているために、27年度にはさらに確保のための講演会活動を実施する計画である。それに要する謝品購入や交通費として使用する予定である。 最後に、聞き取り調査で明らかになった内容と、翻訳した尺度の内容を検討し、候補の尺度を修正が必要かどうか、必要な場合には著者への交渉等、共同研究者とは直接会っての話合いも必要であることから、共同研究者の旅費等も複数回必要と考える。 以上から、次年度には計画の遂行に併せて予算執行は確実に進められるものと考えている。
|