2016 Fiscal Year Annual Research Report
The Study of the housing market in Shanghai and the recent housing policy In China
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26504007
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
中岡 深雪 北九州市立大学, 基盤教育センターひびきの分室, 准教授 (50514808)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 住宅政策 / 中国 / 経済事情 / 上海 / 習近平政権 |
Outline of Annual Research Achievements |
H.28年度は最終年度にあたるため研究課題に挙げた2つのテーマに対する考察を深め、まとめの段階に入った。全研究期間で明らかにすべく設定した課題は要約すると(1)住宅市場の上海モデルの定義を明確にする、(2)習近平政権の住宅政策を概括することで、H.28年度はそれらの成果を学会等で報告するという3点より研究を進めた。 (1)上海では継続的に住宅需要を伴った人口の流入が起こっており、住宅価格形成に影響を及ぼしている。その影響により住宅の新規開発は郊外に向けて拡大している。一方で郊外に拡大するだけでなく、中心部の再開発も進行している。上海で見られる住宅価格が需給に規定され、都市が形成される過程は市場メカニズムのもとでは一般的であるが、移行経済国である中国での先進事例と言える。住宅より市場メカニズムの進展を分析した点が本研究の独自性である。(2)住宅政策については、有効性を考察した。改革開放以降実施されてきた住宅制度改革について、上海では1999年の住宅公積金制度の導入後は大きな変革は行われていない。上海の住宅市場は市場化の進展が早く、また人口流入が絶えない中で、価格形成において上昇圧力が強く働いている。そのような状況下では住宅公積金制度は住宅購入者に対する貢献度は低い。上海の事例は極端な例であるが、市場化の進展が早いモデルであると言える。住宅政策がバブル崩壊抑止のための購入制限に偏りつつある中で、住宅購入者にとって望ましい政策は実施されていないと言えよう。(1)(2)は個々に独立したものではなく、相互に関連している。そしていずれも他の地域の実例や取り組みを調査し、比較検討を行った。これらの成果を関連する研究会での複数回の報告を経て、学会で発表した(3)。
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Research Products
(3 results)