2014 Fiscal Year Research-status Report
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26520108
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Research Institution | Utsunomiya Kyowa University |
Principal Investigator |
吉良 貴之 宇都宮共和大学, 公私立大学の部局等, 講師 (50710919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 麻佑 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (00634049)
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Project Period (FY) |
2014-07-18 – 2017-03-31
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Keywords | 世代間正義 / 世代間交流 / 世代間民主主義 / 世代間協働 / 高齢者法 / 移民の正義 / 熟議民主主義 / 神経倫理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は本研究計画の最初の年であり、1)法哲学・比較行政法学を中心とする理論構築と、2)欧米および東アジア諸国での世代間協働のあり方の実地調査について、基礎固めを行った。 1)について、法・政治哲学上の世代間正義論の最新の研究状況を調査し、それを若年世代と老年世代の民主的な協働可能性という問題意識によって再定位する必要を確認した。その成果として、論文に吉良貴之「憲法の正統性の時間論的分節化」(憲法理論研究会編『憲法と時代』敬文堂、2014年)、国際会議発表に吉良"On Intergenerational Constitutional Legitimacy"(東アジア法哲学シンポジウム、韓国)など。研究分担者の寺田が主に担当する比較行政法研究では、民主的協働の基礎となる社会保障制度等について「高齢者法(aging law)」の視角から整理する必要を確認した。また、今後日本でも喫緊の課題となる移民問題について、特にその世代間の文化的ギャップに着目することで本研究計画をより実践的なものとする方向が検討された。この点、国籍法・移民問題を専門とする中村安菜氏(日本女子体育大学)に連携協力者として参加いただき、具体的な探求への道筋をつけた。 2)について、日本と同様に少子高齢化が進む先進諸国の世代間協働のあり方の国際調査・比較を進めた。2014年度はドイツ家族省主導の世代間交流の取り組みについて吉良が、アメリカでの同様の取り組みについて吉良と寺田が、現地研究者・政策担当者への聞き取り調査、文献収集等を行った。また日本と文化的事情を多く共有する東アジア諸国との比較の必要性も確認し、韓国・台湾についても同様の調査を行った。この過程で、日本・東アジア法制史を専門とする岡崎まゆみ氏(帯広畜産大学)に連携協力者として参加いただき、歴史的な比較によって本課題を重層的に発展させる見通しを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にて述べたとおり、2014年度の目標であった理論研究、および国際比較調査の基礎固めはおおむね順調に進展している。また、複数の連携協力者の参加を得たことにより、当初の見通し以上に研究課題を重層化させることができた。また、分野横断的な研究ネットワークを構築したことにより、次年度以降の研究がより効率的なものとなるものと期待される。これは今後の成果発表(学術面のみならず、一般へのアウトリーチも含む)において大きな強みとなるであろう。一方、課題採択決定が遅れた影響により、研究計画が若干後ろ倒しになったことは否めない。特に国際調査について分析結果を早急に発表する必要があるが、すでに分担者・連携協力者間での情報共有を十分に進めているため、研究計画全体への大きな影響はないと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は、昨年度中に基礎固めを行った理論枠組と国際調査結果をもとに、その実践的含意を抽出していく作業が中心になる。具体的には、少子高齢化および世代間不均衡下における世代間の民主的協働の可能性を理論的・制度的に探っていく。吉良は法・政治哲学での世代間正義論や熟議民主主義論(deliberative democracy)の蓄積をもとに、特に高齢者世代の視点に定位した理論構築の可能性を探る。その過程においては、世代間協働における感情(emotion)の適切な位置付けが不可避であると考えられるため、道徳心理学的知見の積極的な導入を図りたい。なお、その作業においては脳神経倫理学を専門とする戸田総一郎氏(京都大学)に連携協力者として参加いただく。氏の参加によって分野横断的なネットワークのさらなる構築が進められるものと期待している。比較行政法調査については寺田が引き続き主に担当し、欧米・東アジア各国の社会保障制度の分析を進める(その過程においては、連携協力者の中村氏、岡崎氏に引き続き協力いただく)。 2015年度は暫定的な成果発表にも力を注ぐこととし、それぞれ論文執筆(英語論文を含む)を進めている。また、国際会議での英語によるワークショップ、セッションを企画も進めており、本研究課題の成果を積極的に国際発信するとともに、問題関心を共有する世界各国の研究者・実務家との意見交換とネットワーク構築を行いたい。
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Remarks |
本研究課題の概要、研究成果、研究会・学会等の情報を公開し、定期的にアップデートしている。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] 世代間民主主義の可能性2015
Author(s)
吉良貴之
Organizer
倫理・法令・社会連続セミナー
Place of Presentation
東北大学・東北メディカルメガバンク機構
Year and Date
2015-01-26 – 2015-01-26
Invited
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[Presentation] 医療と法2014
Author(s)
寺田麻佑
Organizer
稲城市ICカレッジ
Place of Presentation
稲城市地域振興プラザ
Year and Date
2014-11-16 – 2014-11-16
Invited
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[Presentation] 環境と法2014
Author(s)
寺田麻佑
Organizer
稲城市ICカレッジ
Place of Presentation
稲城市地域振興プラザ
Year and Date
2014-11-16 – 2014-11-16
Invited
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