2014 Fiscal Year Research-status Report
各種交通情報サービスの提供のためのプローブカー情報の効率的収集とプライバシー保護
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26540037
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東野 輝夫 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80173144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 高朗 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (10346174)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ITS / プローブカーデータ / 渋滞長 / OD行列 / 車両モビリティ / プライバシー保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(i)渋滞箇所の特定、(ii)目的地までの所要時間の推定、(iii)出発地と目的地の組毎の交通量(OD行列)推定など、代表的な交通情報サービスの実現を念頭に、各車両からどのようなタイミングでどのような走行履歴情報を収集すれば効率よくそれらのサービスを実現できるかを検討し、(a)サーバー側の記憶容量を一定量に抑えつつ、プライバシーを保護した形でそれらのサービスを実現するための方法を考案すると共に、(b)一般道に対する現実的な仮定の下で、どの程度の車両から走行履歴情報を収集すれば対象サービスの精度を所望の水準に保てるのかなどについて理論的な考察を行うことを目的としている。 本年度の研究では,信号機などを起点として生じる交通渋滞について、赤信号中に車両が到着することによる車列の増大と青信号になり車両が順次通過していくことによる車列の減少についての数理モデルを構築し、少数のプローブカーデータから信号待ち車列長や通過に要する時間、それらの変動を高精度に推定する手法を提案した。提案手法では、信号近辺での車両群の停止・発進の挙動を高精度にモデル化することで、信号サイクル毎に車列長や一つの信号サイクルで通過できずに残る車両台数の推定を高精度に行う方法を考案し、それらをもとに旅行時間の推定精度の向上やリンク交通量の推定などを行っている。また、提案手法では多数のプローブカーデータを細切れに切断し、その一部のデータのみをランダムに取り出してもある程度の精度で渋滞長の推定が可能であり、プライバシーを保護した形での渋滞長推定も可能な手法になっている。これらの研究成果の一部は2014年11月に行われたInternational Conference on Connected Vehicles & Expo (ICCVE 2014)国際会議で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究において、少数の車両からの細切れのプローブカーデータを用いて、信号待ち車列長や通過に要する時間、それらの変動を高精度に推定する手法を提案することができた。また、目的地までの所要時間の推定や、出発地と目的地の組毎の交通量(OD行列)推定などへの適用についても、ある程度の目処がついてきており、計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
全車両の何%の車両から当該プローブカー情報を収集できれば、対象サービスの精度を所望の水準に保つことができるかなどの理論的な評価を典型的な都市街区の様々な時間帯を対象とした交通流をもとに行うことで提案手法の有効性の向上を図ると共に、プローブカーデータの割合が少ない場合に、VICS情報や交通流計測装置から得られる様々な交差点での車両数・速度・右左折に要する時間情報などを併用することで、渋滞箇所の特定、目的地までの所要時間の推定、OD行列の推定などをより高精度に行うための方法をさらに検討していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成27年2月、3月に計画していた学会参加などの出張予定が、学内の入試関連業務などで実施できなかったことなどにより、旅費や学会の参加費などの経費が予定より少なくなったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果の発表や関連する研究者からの情報収集などを平成27年度の経費と合わせて使用することで、さらなる研究成果の向上につなげていきたいと考えている。
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