2015 Fiscal Year Annual Research Report
データ史料批判:非文字史料の情報学的解析に基づくシルクロード像の再構築
Project/Area Number |
26540178
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
北本 朝展 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 准教授 (00300707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 陽子 花園大学, 文学部, 講師 (70455195)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | デジタル・ヒューマニティーズ / データ史料批判 / 遺跡データベース / 歴史情報 / セマンティックウェブ / 非文字史料 / データレポジトリ / シルクロード |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の歴史研究は文字史料を主な研究対象としてきたが、研究代表者らは古地図や古写真等の非文字史料を定量的に読み解くという、情報学的解析に基づく史料批判を「データ史料批判」と名付け、非文字史料を対象として史料批判を開拓するための研究ツールやデータベースの開発とオープン化を進める。 平成27年度は、デジタル史料批判プラットフォーム(Digital Criticism Platform / DCP)の概念的なモデルを洗練させるとともに、プロトタイプを構築して試験的なデータ入力を行うことにより、プロトタイプが動作することを確認した。プロトタイプにはオープンソースソフトウェアのDSpaceを、SPARQL拡張のためのモジュールを導入することで意味的な検索も可能になった。これを用いて、信頼性の高いエビデンスのみを用いた遺跡照合結果を検索するデモを行い、それがデジタル史料批判にも有効であることを示した。 さらに、デジタル史料批判のためのツールとなるマッピニング(Mappining)、フォトフィット(Photofit)およびメモリーハンティング(Memory Hunting)との連携についても進めた。今年度は特に写真と写真を位置合わせするツールであるフォトフィットを対象として、位置合わせした結果をエビデンスとしてDCPに登録する機能を実装した。このエビデンスは後から呼び出すこともできるため、他者がそのエビデンスの妥当性を検証することもできるようになる。また、理論的には写真と遺跡との間を意味的にリンクすることで、遺跡と遺跡の照合を支持するエビデンスを網羅的に検索することも可能となり、情報プラットフォーム上での史料批判が大幅に効率化することが期待できる。 こうした研究成果は、人文科学とコンピュータシンポジウム(じんもんこん)2015などの学会で報告を行い、シンポジウムの最優秀論文賞を受賞するなどコミュニティから高い評価を得た。
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Research Products
(10 results)