2014 Fiscal Year Research-status Report
アルミニウムドロス残灰のパーフェクトリサイクルシステム
Project/Area Number |
26550072
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平木 岳人 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60550069)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルミニウムドロス / 塩化物除去 / 窒化処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルミニウムドロス残灰のパーフェクトリサイクルを目的として、(1)残灰のスクリーニングによるメタル分の簡易回収、(2)窒素雰囲気加熱による残留メタルの窒化と塩化物の分離回収、(3)窒化物リッチ残灰と亜臨界水によるアンモニアと水酸化物の合成を実施すべく研究を遂行し、特に、(2)窒素雰囲気加熱による残留メタルの窒化と塩化物の分離回収のための研究を主として行った。 アルミドロス残灰が数%含有する塩化物は、残灰の資源化用途を著しく狭めている一方、アルミニウム溶解時やドロスからのメタル回収時における塩化物の投入は、酸化防止や不純物除去などの観点で必要不可欠であり、残灰への混入は免れない。窒素雰囲気加熱による残灰中塩化物の揮発特性を明らかにすべく、窒素ガス流通下における試薬NaCl,KClの揮発挙動をTG-DSCにより観察し、各温度保持条件下における塩化物の揮発率を調査した。窒素ガス流通下において塩化物は、融点以上の温度でガス化し、その揮発速度は温度が高いほど、またガス流通量が大きいほど速いことがわかった。実ドロスを用いた場合においても試薬塩化物あるいはその混合塩の融点以上において重量低下の挙動が見られたことから、アルミニウムドロス残灰中の塩化物はNaClやKClの形態で存在し、存在塩化物の融点以上において揮発除去できる可能性を持つことを明らかにした。本研究の成果により、アルミニウムドロス残灰中の塩化物除去にはガス流通下において塩化物融点以上の温度による加熱が有効であることを明らかにした。本プロセスで最も重要なのは含有メタル成分が窒素ガスと反応することで窒化アルミニウムとなることであり、メタル成分の窒化における温度や時間の影響はさらなる調査が必要である。そのため、塩化物融点以上の温度域をターゲットとしてより低温下で効果的にメタル分が窒化する条件を調査することが次の目標となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルミニウムドロス残灰の資源化に不可欠な塩化物の除去回収について、加熱プロセスにおいては存在塩化物の融点以上の温度が必要であるという具体的な解決策を提案できた。本提案プロセス実現のため、存在塩化物の融点以上における残灰中メタル分の窒化挙動をさらに調査できればより具体的な資源化プロセス提案が可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り研究を進める。具体的には、およそ700℃以上の温度における残灰中メタル分の窒化挙動を明らかにするとともに、窒化処理した残灰を原料としてアンモニア水の合成を実施する。また合成したアンモニア水の純度等を調査し、JIS規格に適合させるべく不純物の挙動や必要に応じた除去プロセス、前処理を実施する。
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Causes of Carryover |
当該年度末に試薬およびガスを購入予定であったが、これまでに購入した分が残っていたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験用試薬、ガス、ガラス器具類の購入および打ち合わせ用旅費として使用する。
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