2014 Fiscal Year Research-status Report
環境価値共創による自然環境保全活動の継続性向上効果に関する実証研究
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26550111
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上月 康則 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (60225373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 亮一 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (50361879)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境価値 / 共創 / 環境学習 / 環境活動 / 継続 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「環境活動の主催者,参加者らによる新たな環境価値の共創が活動の継続性向上を高める」といった代表者らの仮説を実証し,それを社会技術化することである.本研究では,活動の継続性の問題をブレークスルーできる新たな社会技術を作ることとした.具体的には,文献調査,協働型環境活動の事例分析,社会実験を行い,1.共創が生じるために必要な条件を明らかにし,2.共創と活動継続性との関係の一般化と社会技術化を図る.本年度は,下記の4つのことを行い,研究成果を得ることができた. (1)活動の継続要因に関する文献調査:文献レビューを行った結果,郷土資源,教育,継承,楽しみ,興味・関心,情報発信,交流,信頼,情熱,無理しない,人的資源,財政的資源,地元住民の支持,連携,行政支援などのキーワードが得られたが,本研究での仮説である「環境価値」,「共創」といった言葉は見あたらなかった.(2)活動を行っている団体関係者へのヒアリング:文献調査以外に,①地域住民による工夫の余地があるか?,②技術手法の分かりやすさ,③環境改善効果が見える,わかる,④地域課題の解決に貢献できるか?,⑤多様な人の参加が可能か?などが得られた.(3)ホースセラピーを活かした海辺の学習事例:1時間のホースセラピーと1時間の体験型の海の環境ゲームを行った.乗馬体験ができるということで,約200名もの中学生が集い,そこで環境学習を行ったところ,短時間であったが,海辺での楽しく学習であったことも相まって,大半の中学生の環境意識が変化し,「楽しい,私たちの海」といった新しい価値観が海に付与された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた項目については,一定の成果を得ることができ,来年度の課題も整理することができた. ①共創が生じるために必要な条件:継続をするために必要な要件とトップダウンで文献調査およびヒアリングを行ったが,「共創」という意識は見られないことがわかった.ただし,環境意識が変容し,それを共有することで共創が起こっていることを見出すことはできた.②共創と活動継続性との関係の一般化:継続性との関係については,この研究成果を受けて,来年度実施する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の調査研究から,適切なプログラムを実施すれば,時間の多寡にかかわらず,新しい価値観が環境に付与され,それが多くの仲間で共有,認識されれば,価値の共創につながると期待された. 今年度は,防災の要素も加えたプログラムを実施し,災害も自然の一面であることを教え,自然との共生の意味を理解させる.さらに,共創することによる「幸福度」を測定することを試み,幸福度と活動の継続性についても考察を加える.
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Causes of Carryover |
年度末に使用予定の調査出張が先方の予定で延期となったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒアリング調査のための出張に使用する.
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