2015 Fiscal Year Research-status Report
環境価値共創による自然環境保全活動の継続性向上効果に関する実証研究
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26550111
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上月 康則 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (60225373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 亮一 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (50361879)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境活動 / 環境学習 / ふるさと |
Outline of Annual Research Achievements |
【本研究の目的】「環境活動の主催者,参加者らによる新たな環境価値の共創が活動の継続性向上を高める」といった代表者らの仮説を実証し,それを社会技術化することである. 【結果】1.「ふるさと」と呼ばれる環境が存在し,それは多数の人の関与によって創造される,環境価値の共創であると考えた.2.人口変遷,政治,学術,世相,定義が相互に影響しあっており,その時代ごとに「ふるさと」の扱われ方は移り変わっていた.また現代に近づくにつれて社会の「ふるさと」への関心は高まっていることが示唆された.さらに,近代に入り,ふるさとの意味に心情的,文化的な意味が付加され,より抽象化されていることも明らかになった.3.近年はふるさとに愛着,誇りを持たせる時代に入っていると考えられる.そのために,今後「ふるさと」に必要な要素は「愛着」,「誇り」,「帰属意識」であることがわかった.4.「ふるさと」への「愛着」や「誇り」また,「ふるさと」を維持することへの「責任」が強い学生ほど幸福度が高いことがわかった.つまり,ふるさとへの愛着を持つ学生ほど誇りを持っていて,ふるさとを守る意識や維持することへの責任を感じる.5.「ふるさと」の課題は,社会の関心は高まっているものの,依然「ふるさと」から離れたままになっている.今後はより「ふるさと」を具体的に定義し,「ふるさと」と関わる仕組みづくりが必要と考える. 【考察】「ふるさと」は共創される価値であることがわかった.また「ふるさと」の意識が維持される限り,その環境とのかかわりは直接的間接的にも継続されると思われる.かかわりの要因は,「愛着」,「誇り」,「帰属意識」であり,それが醸成されると「責任」へとつながることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「ふるさと」という広く社会に認識されるものが,環境に共創される価値の一つであることを指摘することができた.また「ふるさと」と認識されると,その環境への間接的,直接的なかかわりが増えるといった成果を挙げることができた. 今後は「ふるさと」意識を醸成させるプログラムとその技術化が課題であるが,それには,「愛着」,「誇り」,「帰属意識」を持たせることが重要となることを指摘することもできた. なお,本成果の発表論文はないが,平成28年度中に2編の論文を作成中で,土木学会に投稿する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の結果より,「ふるさと」という共創される価値を見出し.そのために必要な要素を抽出することができた.今後は,実際に長期間,地域活動が行われているグループにヒアリングを行い,「ふるさと」意識と活動継続とのかかわりについて検討する.また,プログラム化,技術化についても取り組む.
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