2014 Fiscal Year Research-status Report
機械情報技術を用いたインタラクティブな空間メディア構築法の研究
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26560005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
檜山 敦 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 講師 (00466773)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 空間メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、空間の情報的変化に関しては、空間の床面に複数台の短焦点プロジェクタを用い映像を投影する模様による空間知覚の変化を引き起こし、これによって歩行速度の変化を引き起こす空間メディアの研究開発に取り組んだ。具体的な手法としては、通路やエスカレータなどへの歩行経路に沿って波紋を模した縞模様の投影し、経路誘導と歩行速度の調整を行う形をとっている。背景としては、社会の高齢化に伴いエスカレータに乗り込む際におけるタイミングをスムーズにする必要性が、高齢者におけるエスカレータへの乗り込み時の事故防止や渋滞防止という観点から高まっている。予備実験として、通路において投影する波紋の移動速度や移動方向、縞模様の太さなどを変化させ、歩行速度及び主観的な歩行感覚の違いを調査した。フィールド実験では、投影する波紋は、エスカレータのステップの移動速度にあわせて歩行速度の視覚による引き込み効果を起こすシステムの構築を行った。空間の機械的変化に関しては、ロボット機構を埋め込んだ柱をインタラクティブに動かすことができるようにするシステムを構築した。具体的なインタラクションを行うシステムとしては、屋内空間を模した模型の中において、空間の用途に合わせて稼働することができる柱をトラッキングする仕組みを組み込み、模型の柱を動かすことで、計量された柱の移動量が実際の空間内の柱に送信され、柱が自律的に移動することで室内空間を任意の形に区分することを実現するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
情報的に変化する空間の構築として、空間内の投影映像の変化による空間利用者の歩行速度の変化を引き起こすシステムのプロトタイプを実装した。機械的に変化をする空間の構築として、ロボット機構を組み込んだ柱を空間内に設置することインタラクティブに空間配置を変化させることのできるシステムのプロトタイプを実装した。空間メディアに対する、情報的アプローチと機械的アプローチとの双方について研究開発はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して空間内の人の行動に変化を及ぼす空間メディアの構築を進めていく。環境から環境内の人への一方向の働きかけにとどまらず、双方向のインタラクションを含む空間メディアの可能性についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していたディスプレイ装置が製造中止となったため、既存の製品において要求性能を完全に満たすものがなく、輝度など比較的優先度合いの低い性能を落とし、現有の古い機材でプロトタイプの構築と実験を行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新規に空間メディアに利用するディスプレイを試作することも視野に含めて使用を計画する。
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