2014 Fiscal Year Research-status Report
食事性リンの感知機構の解明と副甲状腺ホルモン初期分泌障害の病態概念の確立
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26560057
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
竹谷 豊 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30263825)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リン / PTH / 慢性腎臓病 / リン感知機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
副甲状腺ホルモン(PTH)は、血清リン濃度の上昇により分泌され、腎臓からのリン排泄を促進するリン代謝調節ホルモンである。これまでに、人において食事からのリン摂取が増加するとPTH分泌が増加するが、この時血清リン濃度上昇よりも早期にPTH分泌が亢進するというPTH初期分泌現象が見られることを明らかにしてきた。本研究では、このPTH初期分泌のメカニズムを解明しその病態における意義を明らかにする。本年度は、ラットを用い、PTH初期分泌の評価方法を確立することと、PTH初期分泌を引き起こす消化管部位を特定することを目的とした。SDラットに麻酔下で大腿静脈と消化管内にカテーテルを留置し、消化管内にリン酸を投与し、大腿静脈より経時的に採血し血清リン濃度とintact-PTH濃度を測定した。その結果、リン酸投与後5~10分で血清リン濃度の上昇がなくても静脈血中のPTH濃度の有意な上昇が見られることを見出した。また、消化管へのカテーテルを胃、空腸、回腸にそれぞれ留置し、リン酸を投与したところ、空腸で最も強いPTH初期分泌反応を認めたことから、空腸でリン酸が感知されていると考えられた。さらに、ナトリウム依存性リン酸トランスポーターの阻害剤であるphosphonoformic acidを投与すると、PTH初期分泌が阻害されることを見出した。従って、空腸に発現するナトリウム依存性リン酸トランスポーターがリン酸の感知に重要な役割をになっていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であった、ラットを用いたPTH初期分泌評価方法の確立とリンを感知する消化管部位の同定のいずれも達成することができた。さらには、ナトリウム依存性リン酸トランスポーターの阻害剤によりPTH初期分泌を阻害できることを見出した。この発見は、リン感知機構の分子メカニズムの解明に役立つとともに、病態モデルにおけるPTH初期分泌の意義を明らかにする上で重要なツールとなる。従って、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
PTH初期分泌のメカニズムには、リンを感知する機構とそれを伝達する神経経路あるいは液性因子が重要であると考えている。27年度の研究では、当初の計画どおり、PTH初期分泌を伝達する神経経路および液性因子の同定を試みる。また、慢性腎臓病モデル動物を用い、PTH初期分泌が障害されているかどうかを明らかにし、PTH初期分泌の病態生理学的意義の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
当初の見積額より安く納品された物品があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度の研究計画において動物実験に必要な消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(2 results)