2015 Fiscal Year Annual Research Report
Ⅲ型ポリケタイド合成酵素のアミノ酸欠損追加導入変異によるあらたな触媒機能の開拓
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26560435
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
森田 洋行 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (20416663)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポリケタイド合成酵素 / 酵素工学 / 立体構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度において、キダチアロエ由来オクタケタイド合成酵素(OKS)の活性中心キャビティーを構成するV351を欠損させると、ヘキサノイルトリアセティックアシッドラクトン(HTAL)、レゾルシノール誘導体(C16レゾルシノール)、フロログルシノール誘導体(C18フロログルシノール)を特異的に生産することを明らかとした。本年度は、さらなる変異導入のための情報を得ることを目的に、本変異酵素のX線結晶構造解析を行った。その結果、2.8Åの分解能で本変異酵素のX線結晶構造の取得に成功した。OKS ΔV351変異酵素は、OKS野生型とほぼ同一の全体構造を有した。一方、OKS ΔV351変異酵素は、351番目のバリンを欠損させたことにより、活性中心Cys残基近傍で活性中心キャビティーが拡大し、これにより開始基質に対する基質特異性が脂肪族CoAに特化した可能性が示された。この部位で欠損変異を導入すれば、基質特異性がさらに変化してあらたな化合物が創出されることが期待される。そこで、351番目のバリンと同時に352番目のセリンを欠損させたOKSの変異酵素を作成し、その酵素活性について検討したが、本二重欠損変異酵素においては、ヘキサノイルCoAに2分子または3分子のマロニルCoAを縮合したヘキサノイルトリケタイドラクトンとHTKLを生産するものの、OKS Δ351変異酵素のようにC16レゾルシノールとC18フロログルシノールは生産できなことが判明した。また、OKS Δ351変異酵素のように、他の脂肪族CoAを開始基質としないことが確認された。本結果は、OKS ΔV351/ΔS352変異酵素は、OKS Δ351変異酵素よりもマロニルCoA縮合の能力を衰退させたことを示す。現在、351番目のバリンとは立体構造上離れた位置に存在するアミノ酸への欠損変異を導入し、OKSのさらなる機能改変とあらたな化合物の創出を試みている。
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Research Products
(15 results)