2015 Fiscal Year Research-status Report
においのトラウマ記憶に関する実態調査ならびに実験的検討
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26590175
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
綾部 早穂 筑波大学, 人間系, 教授 (40323232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 一夫 筑波大学, 人間系, 准教授 (30282312)
青木 佐奈枝 筑波大学, 人間系, 准教授 (80350354)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | におい / トラウマ記憶 / PTSDモデル動物 / 実態調査 / におい嫌悪条件づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、嗅覚が関わるトラウマ記憶に関する調査、人間を対象としたにおい嫌悪条件づけ実験、PTSDモデル動物を使用した実験の3本柱で進行する研究である。 臨床場面における実態調査では、PTSD者のトラウマ記憶再現時の感覚体験の詳細、それによって引き起こされる日常生活上の問題に関する実態調査を目的に、10名のPTSD支援関連の医療従事者を対象に半構造化面接を実施した。事前の簡単な調査により医療従事者が「感覚」的側面により着目しているケースは多くないことがわかっていたため、嗅覚と他感覚を比較検討できるような質問を設定した。その結果、視覚・聴覚・触覚・味覚と比べると遭遇体験は少なかったが、嗅覚侵入・麻痺・回避・過覚醒のいずれの変化も報告された。また医療支援経験の短い従事者ほど、嗅覚に関する変化を意識的に問うていない、または認識していないという事実も挙げられた。現在データをより詳細に解析中である。 人間を対象としたにおい嫌悪条件づけ実験では、昨年度得られた知見(嫌悪条件づけられたにおいに持続的に接した場合には強度減衰が生じにくいこと)を再確認するために、嫌悪条件刺激に人間の怒り表情を用いた場合の実験を実施中であるが、データ数が十分ではなく現在も進行中である。 ラットを用いた実験では、におい刺激を条件刺激とした恐怖条件づけの手法を確立することを目的とした。結果、あらかじめにおい刺激が置かれた装置にラットを入れ、その5秒後あるいは120秒後にフットショックを与えた場合は、いずれの条件においても翌日のテスト試行で条件性恐怖反応はみられなかった。一方で,におい刺激がない状態の装置にラットを入れ、その120秒後ににおい刺激とフットショックを対提示し、その直後に装置内の空気を排出した場合には、翌日のテスト試行において、におい刺激提示に対する有意な恐怖反応がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査に関しては、半構造化面接の結果、クライアントが経験した事象の種類によって、経験する感覚の変化が大きく異なっていたため、事象の限定(性被害)すること、また支援の経験の比較的長い医療従事者を調査対象に絞る等の、配慮が必要であることが明確になり、最後調査の必要が生じた。人間対象の実験・動物対象の実験に関しても、実験デザインの決定に予定以上の時間を要し、結果は出始めているが、データ数が不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
方法論は確立し、一部データも得られているので、平成28年度は、結果のまとめの方向で進める。
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Causes of Carryover |
主には、調査に関して、半構造化面接による結果に対する詳細な分析や追加調査を実施するための人件費を使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加調査・分析を実施し、同時に、人間を対象とした実験および動物を対象とした実験の結果の取りまとめ作業のための人件費、および調査データの学会発表のための旅費に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)