2014 Fiscal Year Research-status Report
制限付RBF法と脳磁場計測法を用いてbimusicalの習得過程の神経基盤を探る
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26590182
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
松永 理恵 静岡理工科大学, 総合情報学部, 講師 (70399781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横澤 宏一 北海道大学, その他の研究科, 教授 (20416978)
阿部 純一 北海道大学, その他部局等, 名誉教授 (40091409)
ハルトノ ピトヨ 中京大学, 工学部, 教授 (90339747)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 音楽認知 / bi-musical / コネクショニストモデル / 制限付RBF / 文化差 / 調性的体制化 / ニューラルネットワークモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果は,以下2点である。 [1] 聞き手の脳は,どのような学習メカニズムに支えられ,音楽スキーマを習得するのだろうか。本研究では,人工的ニューラルネットワーク・Restricted Radial Basis Function Network(制限付RBF)を構築し,そのネットワークに西洋音楽と日本伝統音楽を入力した。制限付RBFが両文化の音楽を学習した結果,ネットワーク内部の組織上に作られた西洋音楽に反応するユニットと日本伝統音楽に反応するユニットの空間的特徴は,西洋音楽ー日本伝統音楽のbi-musicalな聞き手において観察された脳活動のそれと矛盾しないことが分かった。 [2]上記[1]において構築した制限付RBFのどこを,どのように修正することで,文化差および発達差を説明できるのだろうか。この疑問に取り組むためには,これまでの研究対象であった日本人大学生からのデータだけでなく,外国人からのデータ,および,大学生とは異なる年齢層の日本人からのデータも必要となる。この意図のもと,本年度は,中国人,韓国人,インドネシア人,ベトナム人,ドイツ人,北米人などに,西洋音楽と日本伝統音楽を聞かせ,彼らから知覚反応データと感情的反応データを得る行動実験を実施した(現在も継続中である)。現在のデータを分析した結果からは,日本伝統音楽だけでなく,西洋音楽に対しても,外国人と日本人大学生の間で知覚的反応と感情的反応は異なる可能性が高いこと示唆されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記[1]の結果を基に学会発表2点を行った。現在は,その結果をまとめた論文を作成している。また,2015年度では,[2]の実験結果を国内外の学会にて発表予定であり,既に一部の学会にはエントリーしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,構築した制限付RBFモデルを拡張し,音楽知覚に見られる文化差,および,発達差を説明できるように努める。そのため,現在既に着手している外国人対象の実験に加え,日本人シニア層を対象とした実験を行う。これらの実験で得た反応データを基に,彼らの脳活動を測定する脳機能計測実験を実施する。それと並行して,まずは行動データを基に,制限付RBFの拡張と修正を行う。
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Causes of Carryover |
2014年11月に,現在使用している脳磁場測定装置(北海道大学医歯学総合研究棟)が故障し,データが正確に測定できない状態となった。そのため,脳機能計測実験を中断した。これに伴い,研究代表者が予定していた旅費数回分(静岡理工科大学~北海道大学),及び,謝金などの支払いを2015年度の予算に繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年4月に脳磁場測定装置の故障の修理が終わったという連絡を受けた。今後は,被験者を再募集して,中断していた脳機能計測実験を再開する。
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Research Products
(8 results)