2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26600019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
畠山 裕康 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (00619067)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 一分子計測 / 量子ドット |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内における分子の動きは、あらゆる細胞機能の発現を司る決定的因子の一つであり、その破綻は様々な障害や疾患と直結する。これを高精度に計測することで分子動態という全く新しい概念に基づく疾患の理解や新規治療戦略の開拓等の革新的社会貢献が可能となる。研究代表者らはこれまでに、一分子計測に最適な蛍光ナノ粒子、量子ドットを用いて特定のリサイクリング膜タンパク質に対して細胞内分子動態をナノ計測できる系を確立し、従来の研究手法では得られなかった知見を複数提示することに成功してきた。本研究ではこの手法をさらに細胞内の任意のタンパク質に適用できる手法へと改良することを目的とした。 本年度は、昨年度までに成功していた①量子ドットを細胞内に高効率かつ低毒性にて導入できる手法と②計測対象タンパク質に特異的に結合できる能力を獲得させる手法とを組み合わせ、細胞内の複数種のミオシン分子に注目した挙動計測を試みた。その結果、アクチンフィラメント上を動いていると考えられる直線的な挙動を示すミオシン由来と考えられる量子ドット蛍光の動きの検出に成功した。ただし、過去の文献と同様に、そのような挙動を示す量子ドット蛍光の割合はおよそ5%程度であった。また、このときに同時にアクチンフィラメントを可視化できるLifeAct-venusを発現させ量子ドット蛍光と同時に観察することにより、確かに量子ドットがアクチンフィラメント上を運動していることを確認した。さらに、細胞内におけるミオシンの挙動に対するインスリン作用について検証し、現在これらの知見について論文準備中である。
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