2016 Fiscal Year Annual Research Report
Reproduction experiments of chondrules using a newly developed ambient-controlled levitation system
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26610174
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
瀬戸 雄介 神戸大学, 理学研究科, 講師 (10399818)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コンドリュール / 始原的隕石 / ガス浮遊法 / 結晶成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンドリュールはコンドライト隕石に含まれる主要な構成物であり,主にケイ酸塩鉱物からなる直径1 mm程度の球状組織である。コンドリュールは太陽系形成初期に,固体の微粒子の集合体が瞬間的な加熱イベントによって溶融した後,急速な冷却によって形成したと考えられている。これまでにコンドリュール組織の再現を目指した研究は数多く行われているが、その多くは試料を容器に固定し溶融・冷却する手法を用いていた。この手法では,試料が容器と接触する部分での不均質核形成や温度勾配が発生するなど実際のコンドリュール形成条件と直接対比することができない。近年では,レーザー加熱ガス浮遊法という無容器状態での加熱溶融法が実現しているが、この手法では精密な温度・雰囲気制御が困難であるという欠点があった。 そこで本研究では様々なコンドリュール組織を再現するために縦型管状炉にガス浮遊装置を組み込んだシステムの新規開発を行った。これにより浮遊法の利点を活かしたまま、温度や酸化・還元雰囲気の精密制御を実現した。さらに新規開発した装置を用いて,ケイ酸塩の溶融浮遊実験を行った。実験回収試料は走査型電子顕微鏡を用いて微細組織の観察を行い,実際のコンドリュール組織と比較することでコンドリュール形成条件の制約を行った。 実験の結果,溶融部分にみられる不透明鉱物に含まれるFe成分は3価の状態のものがほとんど認められず,還元的雰囲気下での浮遊溶融状態の再現に成功した。さらに、幌満産カンラン岩,Type IIA組成の酸化物混合体を用いた実験では実際のコンドリュールにみられるような板状のolivine,斑状 olivineとその隙間を埋めるmesostasis組織を再現することに成功した。本研究の成果はコンドリュール形成の謎を解明するのに大きな一歩になることが期待される。
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Research Products
(3 results)