2015 Fiscal Year Research-status Report
無機・有機複合体におけるランタニド錯体の多機能性発光特性の研究
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26620064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
海崎 純男 大阪大学, 産学連携本部, 特任教授 (20089874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤井 智子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (00356338)
城谷 大 函館工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (20720808) [Withdrawn]
中田 博保 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (60116069) [Withdrawn]
佐藤 久子 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20500359)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 繊維状セピオライト粘土 / ユウロピウム錯体 / ベンゾフェノン系光増感配位子 / 赤色蛍光体 / 温度変化ユウロピウム蛍光体 / β‐ジケトナト系光増感配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的の可視光励起視認性発光については、鉄分に少ないトルコ産セピオライトホワイト粘土とフェナントロリンとベンゾフェノン系配位子にβ-ジケトナト配位子を追加し、Eu含有量を1%から5%に増大させることによって実用化レベルの375nm励起で蛍光灯下視認性発光体の合成に成功した。これらの発光特性と配位状態(配位結合・構造)の評価法を発光強度比を比較することで確立できた。発光特性の評価は近紫外部(450nm)の発光強度と615nmのEu由来の4f-4f遷移の発光強度比I(615)/I(450)で行い、この値が大きければ、視認性が増すことがわかった。蛍光スペクトルの4f-4f遷移の 590nm(5Do→7F1)と615nm(5Do→7F2)の発光強度比I(615)/I(591)で、Eu回りの構造の違いや配位子の種類(配位構造・配位状態)を評価する。この比はフェナントロリンといろいろなベンゾフェノン系配位子からなる蛍光体ではほぼ同じであることから、配位状態に変化がなく、これにβ-ジケトナト配位子を加えてものはこの比が大きくなるので、Eu回りが非対称性で発光性を増していると考えられる。温度変化蛍光測定では450nmと615nmの発光強度は100℃まではともに弱くなるが,前者の、I(615)/I(450)は後者よりも温度の影響を5倍ほど大きく、その強度は120℃になるとともに増すことがわかった。これはベンゾフェノン系配位子自体の熱活性化遅延蛍光と関係していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初に計画した「粘土と光増感配位子の組合せの最適化:合成反応条件の検討:高輝度長波長励起蛍光体:多機能性発光体」のうち、強発光性の実現に注力して、ユウロピウム含有量の増大、粘土鉄分の少ないトルコ産セピオライトホワイトと光増感配位子としてfodの追加による実用化レベルの強発光性を示す蛍光灯下視認性赤色発光体の合成および蛍光スペクトルの強度比を利用した解析法によって、発光性の評価法の確立に成功したが、その分、配位子の量的な最適化などの反応条件やマルチカラー発光体と長波長励起蛍光体の検討が時間的にできなかった。産総研関西センターの分担研究が都合であまり進捗しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
トルコ産セピオライトホワイトを用いて、ユウロピウム含有量のさらなる増大と配位子の量的な最適化などの反応条件を従来の加熱法だけでなく、マイクロ波法によって行う。400nmよりも長波長励起蛍光体の合成を4,4'-tetramethyldiaminobenzophenoneなどの適当な配位子を用いて検討する。マルチカラー発光体の発光強度の増大をユウロピウム含有量の増大と配位子量の最適化によって行う。 温度変化蛍光を120℃~200℃で詳細に行う。
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Causes of Carryover |
主に強発光性蛍光体の合成に注力し、計画の配位子の最適化などの反応条件の検討を行うことができなかったためと産業技術総合研究所関西センターでの分担研究が都合により中断したために、使用額が計画よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実用化レベルの発光強度の蛍光体の合成に成功したので、これをもとにさらにユウロピウム含有量の増大と配位子の最適化や反応条件の検討をマイクロ波を用いて行い、また、200℃近くの温度変化蛍光測定を行って、新しい知見を集積する予定である。
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Research Products
(5 results)