2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26630117
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
石居 正典 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 主任研究員 (50356432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 基 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 主任研究員 (00415671)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電磁界測定 / 磁界センサ / ラビ周波数 / セシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
従来、高周波の電磁波を測定または観測する際には、アンテナを利用した電磁界センサが用いられてきた。通常、電磁界センサのアンテナ部分は金属体で構成され、目的や用途によって形状や特性は様々であるが、それらの動作原理は最終的にはマクスウェルの方程式に帰着される。本研究では、従来のように幾何寸法と古典電磁気学による物ではなく、量子現象を利用し、原子の構造と基礎物理定数に基づいた高周波電磁界センサの実現可能性に関する研究を開始した。なお、電磁界センサには電界用と磁界用の両者が考えられるが、本研究では初期検討として、磁界を観測する磁界センサを対象とした。 具体的にはセシウム気体が封入されたガラスセルを空間中に配置し、それにホーンアンテナによりマイクロ波帯の電磁波を照射する。この時、この電磁波とは別にレーザーを照射することで二重共鳴スペクトルを観測し、それと同時にこの二重共鳴スペクトルの挙動を解析することで電磁波とセシウムとの相互作用が得られる。ここでは二重共鳴スペクトルの観測の際に電磁波に位相変調を加え、パラメトリック励振を起こすことで、系の固有振動数であるラビ周波数を測定した。これをアトミックキャンドルと呼ぶ。さらにラビ周波数のセシウム入りガラスセルの位置による依存性を調べることで、ホーンアンテナによって照射された電磁波の磁界強度の空間分布の測定に成功した。これは金属体を不要とする低侵襲性磁界センサの実現可能性を示す重要な結果である。 特に最終年度には、ホーンアンテナなどから放射されるマイクロ波の電磁界分布を詳細に計算し、これまでに得られた実験結果との比較検証を行うことで、本結果の信頼性とセシウム気体が封入されたガラスセルの被測定磁界に対する侵襲性の度合いについても確認した。また、最終年度であるため、本課題の研究成果を学会などでの発表を積極的に行った。
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Research Products
(7 results)