2014 Fiscal Year Research-status Report
全球プラスチック漂着ゴミ量把握に向けた人工衛星画像解析アルゴリズムの開発
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26630231
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
日向 博文 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (70272680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 智哉 国土技術政策総合研究所, 沿岸海洋・防災研究部, 研究官 (70553767)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 漂流ゴミ / 人口衛星 / 近赤外 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハイパースペクトルカメラ(NH-7;EBA JAPAN社製)を用いた漂着物の撮影実験を行った.撮影対象物は,プラスチック,貝殻,イカの甲,ガラスおよび砂である.これらの対象物は瀬戸内海周防大島の海岸に実際に漂着していたものであり,プラスチック,貝殻およびイカの甲は全てがほぼ白色である.これらの漂着物を海岸で採取し,30cm×40cmのプラスチックケースの中に砂を敷き,その上に,漂着物をランダムに配置した.この疑似海岸ハイパースペクトルカメラ(HSC)で撮影し,各漂着物の波長:350nmー1100nmにおける吸収率を(吸収スペクトルの形状)を比較した.解析は450ー1000nmの範囲で行うことにした.この間における吸収スペクトル形状は,ほとんどの漂着物(プラスチック,貝殻,イカの甲およびガラス)で450nmから徐々に吸収率が低下し,850nmあたりの波長帯で最小となり,その後は波長とともに徐々に吸収率が大きくなる傾向にあった.しかしながら,値自体はそれぞれの漂着物で大きく異なり,プラスチックが最も大きく,ガラス,貝殻,イカの甲と続いた.このハイパースペクトル情報を使って通常のRGB画像を作成すると,白色のプラスチック,貝殻,イカの甲を色に基づいて互いに識別するのは困難困難であった.一方,他の3波長帯(例えば,370-850-900nm)を使って疑似カラー画像を作成すると,プラスチックのみ青くなる傾向にあった.よって,この波長帯を用いることで海岸に漂着したプラスチックを識別できる可能性があることが分かった.続いて,この吸収スペクトルの波長方向での変化率(勾配)を計算した.すると,プラスチックの870nm付近と960nm付近に明確な極大値と極小値を有している事が明らかとなった.この特徴はプラスチックに固有であることから,吸収スペクトルそのものだけではなく,その波長空間での勾配を利用することでプラスチックを精度良く識別するアルゴリズムを作成できると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HSCを用いて疑似海岸を対象とした撮影実験を行い,プラスチック漂着物特有の吸収率形状(吸収率の波長空間での勾配)を見出すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度ではHSCを用いて疑似海岸を対象とした撮影実験を行い,プラスチック漂着物特有の吸収率形状(吸収率の波長空間での勾配)を見出すことができた.次年度は,このスペクトル形状のHSCの撮影解像度に対する依存性を調べていく.
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Causes of Carryover |
ハイパースペクトルカメラで撮影するためのプラスチックを固定する架台の製作に必要なベニア等の費用が当初計画よりも安く抑えられたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
補足実験のためのその他費用,研究打ち合わせおよび学会発表にための旅費,成果発表のための論文投稿料や学会参加費,およびデータバックアップ用のHD購入などの物品費に使用する予定.
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