2015 Fiscal Year Research-status Report
建築技術のイノベーション導出過程分析と知的財産マネジメントの提案
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26630271
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金多 隆 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10301243)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 建築技術 / 建築生産 / 研究開発 / 産学連携 / 学際領域 / 共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、以下の3つの課題に取り組んだ。 <課題1>イノベーション過程の分析:建設業の技術知識の外部化現象について、その方向性を探ることを目的とした。検討の手段としては、他産業で生じている外部化の経緯をモデル化し、建設業との比較を行うこととした。他産業の事例は、医薬品、情報通信、銀行の各業界とした。他産業の外部化の本質は、まとめると次のようである。1)研究開発の外部化、オープンイノベーション、2)開発リスクを背負うベンチャー企業の出現、3)基幹技術であっても購入(ライセンス導入) <課題2>建築生産における技術知識マネジメント手法の提案:上記の分析結果を建築生産に当てはめると、次のような実態や課題が得られた。1)技能、管理技術、設計技術のゼネコンからの外部化、2)技術提案のできる鉄骨ファブリケーター、CM会社等、3)ヒト(職人)だけでなく技術も含めた組織編成、目利き能力 <課題3>シンガポールにおける建築生産のイノベーションに関する実態調査:シンガポールにおいて導入が義務化されているBIM (Building Information Modeling)の確認申請図書提出等について、現地の設計事務所、日系ゼネコンのほかシンガポール政府担当者にヒアリング調査を行った。その結果、BIMの本来の役割である、設計の早い段階での統合的な建物モデルの調整は達成されていないことが明らかになった。本来は、生産性向上に寄与するイノベーションと目されていたが、現在は政府の要求への追随が先行する状態であり、BIMでの確認申請は形骸化する傾向にあり、設計図書整合の実体を伴っていないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の遅れを引き継いでおり、年度後半は研究代表者の学内異動に伴う大学業務のエフォート増大の影響も受けた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は新たな研究環境で本研究課題に専念できるため、残りの研究計画を着実に実行する。
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Causes of Carryover |
研究計画がやや遅延したことによる。また、平成27年度にシンガポールへの外国出張を行ったが、用務を切り分けたうえで、その経費を別の事業から支給されたことも要因となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画を着実に実行し、予定どおりに執行する。
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Research Products
(8 results)