2015 Fiscal Year Research-status Report
新規植物育成技術「Shigyo法」の原理解明:赤青の交互照射に対する植物の応答
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26660028
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
執行 正義 山口大学, 農学部, 教授 (40314827)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 赤色LED / 青色LED / 光合成有効光量子束密度 / フォトトロピン変異体 / 赤青同時照射 / 赤青交互照射 / シロイヌナズナ / R/B比 |
Outline of Annual Research Achievements |
「0.シロイヌナズナにおけるShigyo法の最適化」および「2.赤/青交互照射条件下における発現遺伝子の把握」 シロイヌナズナ‘コロンビア’を用い,赤青比4:1区,3:1区,2:1区,1:1区,1:2区,1:3区,1:4区を設け,対照区には蛍光灯を用いた.播種後32日目に新鮮重,乾物重,葉身長,葉幅長および葉柄長を測定し,最適な赤青比を検討した.さらに,最適な赤青比を用いた交互照射により栽培し,①赤色光照射時,②光切り替え直前,③光切り替え直後および④青色光照射時の4時点の植物体から抽出した全RNAをそれぞれマイクロアレイ解析に供試し,生育促進に関連することが予想される遺伝子の発現量の増減に関するヒートマップを作製した. ‘コロンビア’の栽培試験の結果,1:2区において蛍光灯と同程度の生育量がみられ,LED照射区の中では最も良く生育していた.したがって,最適な赤青比は1:2であることが分かった.そこで,赤青比1:2を用いた交互照射により栽培した‘コロンビア’における遺伝子発現解析を実施したところ,39個の光受容体に関連する遺伝子,328個の光応答関連遺伝子,104個の光合成関連遺伝子,62個の概日リズム関連遺伝子および494個の細胞周期関連遺伝子が検出された.①および②の時点では,光合成や細胞分裂に関連した遺伝子が,また,③および④では,葉の伸展や形態形成に関連する遺伝子の発現量がそれぞれ増加しており,これら遺伝子の中に交互照射による生育促進効果に関与するものが見出される可能性が示された.上述の遺伝子発現解析の結果から,赤青交互照射の赤色光照射時には,総じて植物体が大きくなり,一方で青色光照射時には,主に葉の向きや葉の広がりなど受光態勢を整えることで生育が促進されていることが示唆され,成長解析の結果と部分的に一致した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「0.シロイヌナズナにおけるShigyo法の最適化」:100%(理由)昨年度に確立した実験系を確実なものにするために,より緻密な試験を行った結果,シロイヌナズナ‘コロンビア’の生育に最も適したR/B比は1:2であることが結論付けられたため. 「2.赤/青交互照射条件下における発現遺伝子の把握」:50%(理由)マイクロアレイ受託解析の費用が高額であり,本年度は交互照射の実験だけしか遂行できなかったため. 以上より,平成27年度の達成度は約75%となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】のところで示したように,以下の小課題について達成度が低くなっている.そこで,それらについて,今後の対応策を以下に示す. 「2.赤/青交互照射条件下における発現遺伝子の把握」:50%(対応策)H27年度,受託費用の関係で遂行できなかった同時照射の試験に関しては,H28年度の予算の大部分を活用して実施する予定である.
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Causes of Carryover |
次年度に予定しているマイクロアレイ解析の費用が高額になることが予想されるため,少しでも多くの研究資金を次年度使用したく思い,繰り越しを行った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額が僅かであることから,繰り越した助成金は解析費用に滞りなく執行できると思われる.
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