2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26660096
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
奥 直也 富山県立大学, 工学部, 講師 (90525388)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ツチガエル / 苦味 / ペプチド / 臭気 / GC-MS / ベンズアルデヒド / コレステロール |
Outline of Annual Research Achievements |
ツチガエル体表分泌物から精製した苦味ペプチドをプロテインシーケンサーで配列解析した結果、高濃度の試料を用いることにより、24残基のうち17残基までが信頼度100%でアミノ酸配列を決定出来た。残りの7残基はシークエンスデータと前年度の機器分析データを考え合わせることにより、予想配列を決定することが出来た。得られた配列はgaegurin 5との相同性が76%であり、前年度NMRおよびMSで得られた組成アミノ酸のうち、Ile一残基をLysに変更したものであることが明らかとなった。 ツチガエルは「くさいカエル」として知られているが、特徴的な匂いの寄与成分は明らかにされていない。そこで匂いの本体を明らかにすべく、M. H. Brodnitzらの方法(J. Agr. Food. Chem. 1971, 19-269-272)に習い体表洗浄液より匂い成分を捕集した。NMRやGC-MSで解析したものの、1-BuOHやEtOAcなど、明らかに実験室の雰囲気中に揮発した溶媒以外にめぼしいものは見られなかった。そこで体表洗浄液を微量のクロロホルムで抽出し、これをGC-MS解析に供した。成分の分離にTC-70キャピラリーカラムを用いたところ、benzaldehydeとcholesterolが主要ピークとして表れたが、何れも期待した匂い特性では無かった。このほかに幾つかのマイナーピークが得られているが、フラグメンテーションパターンから構造を決める事は出来なかった。今後はSPMEカートリッジに直接体表抽出物を吸着して分析することで、体表から直接候補となる特徴臭物質のEI-MSピークを観測する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予測とは異なり、特徴臭の原因物質はマイナー成分である可能性が出てきており、同定が難航する恐れがあるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
苦味ペプチドの予測配列を確定するため、特異性の高いエンドペプチダーゼで消化してC末側ペプチド断片の配列をプロテインシーケンサーで分析する。構造が確定した場合は合成により十分量確保し、ヘビへの忌避活性を検討する。 また、揮発成分は体表分泌物をSPMEカートリッジに塗布して吸着後、加熱脱着してGC-MS分析に供する。
|
Causes of Carryover |
苦味ペプチドC末側の予想配列確認のためペプチド消化の条件を検討中であり、臭気成分の同定にまで至らなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヘビ生体を用いた捕食実験に供する苦味ペプチドを受注合成する。
|