2015 Fiscal Year Annual Research Report
脂質ラフトへの局在性がカロテノイドの機能を決定する
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26660114
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
寺尾 純二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (60093275)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カロテノイド / ラフト / 抗酸化作用 / 光増感酸化反応 / フコキサンチン / ネオキサンチン |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質ラフトとは、コレステロールとスフィンゴ脂質に富む細胞膜中のマイクロドメインであり、細胞外から細胞内への情報伝達のプラットホームとして注目されている。脂溶性に富むラフトは生体膜二重奏に分布することから、脂質ラフトへの局在を介してその特性に影響を与え、細胞内情報伝達系を調節する可能性がある。そこで、代表的な食事由来カロテノイドであるβーカロテン、ルテイン、リコペンを選択し、マウス繊維芽細胞の細胞膜における脂質ラフトへの局在性と膜脂質過酸化反応抑制および下流の情報伝達系としてのMAPキナーゼ系への影響を明らかにすることを試みた。前年度までに、ルテインよりもβーカロテンの方が細胞膜にとりこまれやすいが、両者ともラフトへの局在性を証明することはできなかった。そこで、本年度は極性カロテノイドに着目し、繊維芽細胞の光増感酸化反応に対するフコキサンチンとネオキサンチンの抑制作用を比較検討した。両極性カロテノイドともに、βーカロテンと同様にヘマトポルフィリンを増感剤とする光増感酸化反応で生じる過酸化脂質量を減少させた。この光増感酸化反応に由来するMAP-キナーゼを介したマトリックスメタロプロテアーゼー9(MMP-9)の発現上昇をβーカロテンは抑制したが、フコキサンチンとネオキサンチンはむしろ亢進させる傾向がみられた。一方、リポソームモデル実験により、フコキサンチン、ネオキサンチンは一重項酸素消去活性を有することを確認した。以上の結果から、両極性カロテノイドはβーカロテンと同様に繊維芽細胞の光増感酸化反応において抗酸化剤として働くが、それ自体が何らかの原因により直接的にMMP-9発現を亢進することが示唆された。したがって、極性カロテノイドの機能性評価には留意が必要である。
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Research Products
(2 results)