2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26660261
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
加藤 容子 近畿大学, 農学部, 教授 (40278742)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 凍結保存 / 凍結乾燥 / 胚盤胞 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、哺乳動物初期胚の簡便かつ長期的に保存できる手法開発を最終目的として、胚盤胞の凍結乾燥保存を試みる。哺乳動物初期胚の保存は、1950年代から0~10℃に静置する低温保存が試みられ、1970年代に凍結保存が成功してからは、凍結ステージも初期胚に留まらず、未受精卵の凍結保存も可能となった。しかしながら、凍結保存は凍結融解の手法が難しいことや管理が煩雑であること、また、震災等で保管タンクが損傷したり、液体窒素の供給が途切れたりすると保存が出来なくなるおそれがある。本研究では、細胞質量が大きい卵子や初期卵割胚の凍結乾燥を試みる前に、初期発生過程中でもっとも細胞サイズが小さい胚盤胞に焦点を当てて、凍結乾燥を試みる。マウス受精卵を採取し、体外で培養し、胚盤胞まで育てた。得られた胚盤胞を、凍結溶液に浸漬し、まず溶液で処理する時間と毒性との関連性を検討した。ついで、ガラス化凍結した後、2~6時間、凍結乾燥処理を行った。凍結乾燥後は、復水し、胚盤胞の形態がどの程度復元するか検討した。その結果、いずれの時間凍結乾燥処理をおこなっても、胚盤胞の形態はある程度保たれることが分かった。炭酸ガス培養器で24~48時間体外培養すると、胚盤胞の胞胚腔が観察された胚であっても、形態は徐々に劣化した。今後は、復水して形態的に回復したものが、発生能を維持しているか、胚移植試験や、胚性幹細胞の樹立効率などを指標に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
凍結乾燥を行った胚の形態が予想よりも良好で、哺乳動物初期胚の凍結乾燥保存が、可能となる兆しがみられたため。
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Strategy for Future Research Activity |
凍結乾燥胚の生存性を、複数の指標で検討する。 マウスのみならず、家畜胚においても検討する。
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Causes of Carryover |
凍結乾燥を行った胚の生存性チェックのため、胚移植や胚性幹細胞樹立を試みるのに、受胚雌や試薬類の購入に当てる必要がでてきたため。また、予想より、凍結乾燥後の胚の形態がよく、他動物種でも試す価値があると判断できた。今年度は、家畜サンプルを用いて、体外成熟培養、凍結保存、胚盤胞までの発生率が安定するための条件設定をおこなったが、次年度は、実際に家畜胚を凍結乾燥する。そのため、卵巣を受理するための屠場までの交通費を確保する必要が出てきたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した約60万円は、次年度予算に加え、屠場交通費 35万円、マウス代 20万円、試薬代 5万円に充てる。
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