2016 Fiscal Year Research-status Report
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26660296
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤原 すみれ 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (50532131)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物分子育種 / 多年生 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、一年生植物であるシロイヌナズナにおいて、ある花成制御関連の転写因子を強く発現させた際に見られる多年生的形質に主に着目し解析することで、一年生植物と多年生植物の違いを生み出す未同定の要因を発見・解析するとともに、分子育種等に役立つ知見を得ることを目的としている。なお、本研究は都合により一時中断しており、平成28年度の途中から再開した。 シロイヌナズナに多年生的形質およびそれに類似した形質を付与する転写因子を強発現する形質転換体を、シロイヌナズナと異なる日長感受性を示す植物にて作出し、栽培試験を実施したが、それらの植物においては目立った形質は観察されなかった。 また、当初の予定では、多年生的形質を獲得したシロイヌナズナの形質転換体のホモ系統を単離し、安定した形質を示す系統を確立した後にEMS処理により変異を導入し、より強い形質を獲得した系統を探索する実験を予定していたが、形質を指標にしたスクリーニング実施のために必須である安定した形質を示すホモ系統が得られなかった。そのため、他のアプローチにより研究を進めることとした。 野生型シロイヌナズナに導入した際に多年生的形質を付与することが判明している転写因子過剰発現コンストラクトを用い、ある遺伝子を破壊した変異体に形質転換を行ってT1世代の形質を解析したところ、野生型に導入した際に見られる形質の出現頻度が下がるもしくは見られなくなることを見出した。この結果から、この遺伝子が多年生的形質付与に関与する可能性が示唆された。 さらに、花成時期や形態形成などに影響がみられる他の遺伝子の機能欠損株を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
都合により平成27年度途中で研究を中断し、平成28年度の途中から研究を再開したため、研究期間を延長した。 実績の概要欄に記入したように、当初の計画において研究に用いる予定であった、安定した形質を示すホモ形質転換体を獲得することができなかったため、他のアプローチから研究を進めることとした。その結果、目的の形質付与に関与する新たな関連因子の候補や、花成や形態形成に関わる新規の遺伝子を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように当初の計画を変更し、花成関連転写因子の過剰発現による多年生的形質の付与に関与する遺伝子や、花成時期の制御や形態形成に関与する遺伝子の単離や解析を異なるアプローチから試み、有望な遺伝子を複数見つけることができた。 今後は、当初から進めている多年生的形質を獲得した形質転換体や当該転写因子の解析に加え、新たに発見した遺伝子の働きに関しても解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
平成27年度途中から平成28年度途中の間、都合により研究を中断し、研究期間を一年延長したため。また、当初の計画と異なるアプローチで研究を進めることになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
延長した1年間で必要な試薬類、消耗品類、植物栽培土等の購入費、および学会発表のための旅費として使用する予定である。
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