2015 Fiscal Year Annual Research Report
アクアポリンの発現と超急速凍結による神経幹細胞の選別と残存未分化iPS細胞の除去
Project/Area Number |
26670146
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安井 正人 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90246637)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アクアポリン4 / iPS細胞 / 神経幹細胞 / ES 細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスiPS細胞から神経系に分化誘導した 際、残存する未分化細胞によってテラトーマ形成することが問題となっている。しかし、その除去法の抜本的な解決方法は明らかになっていな い。本研究では、同じ体細胞組織から樹立したにも関わらず、テラトーマ形成率が異なった、マウスiPS細 胞株(MEF38C2/D2)用いて、アクアポリン発現による耐凍性獲得の有無な らびに凍結選別方法(PLoS ONE, 9:e87644, 2014)としての有効性を検証した。その結果、ニューロスフェア形成時に細胞膜に発現するAQP4の割合は、MEF38C2株 と比較してMEF38D2株おいて低値であった。これは、テラトーマ形成率の割合と一致(Nat Biotechnol, 27: 743–745, 2009)、AQP4ノックアウトマウスにおいて、ニューロスフェア形成時の増殖・分化に影響が遅延するとしたHuiらの結果とも一致した(J. Cell Science, 121:4029-4036, 2008)。一方、未分化細胞の指標となるnanog-EGFPの割合も、MEF38C2株 よりもMEF38D2株において高値であったが、超急速凍結後は、その割合が低 下、除去率向上がみられた。また、超急速凍結による分化能への影響は、MEF38C2株とMEF38D2株の両株と見受けら れなかった。しかし、超急速凍結融解後に生存する細胞は大幅に減少、そ のために移植に必要な細胞数(1x106)を十分に得る事 ができなかった。移植による腫瘍化の抑制効果については、この問題を解決して検討する必要がある。 今後検討すべき課題として、細胞膜に発現するAQP4の 割合を促進させる機構やその小分子の特定がなされれば、本研究成果がより活用されることが期待される。
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