2014 Fiscal Year Research-status Report
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26670282
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
細井 英司 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70229186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藝 健作 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (70646398)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 巨核球系培養細胞 / 薬剤評価法 / 巨核球系分化誘導 / 血小板モデル細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では各種薬剤が血小板の活性化と凝集機能に及ぼす効果や作用を血小板モデル細胞として血液培養細胞(HELおよびCMK細胞)を用いた薬剤評価法の確立を目指した。 今回検討したHEL細胞は小型細胞と少数の大型細胞からなる浮遊細胞であり、特に大型細胞の培養ボトルへの付着が認められた。また、HEL細胞は巨核球系分化誘導剤PMAにより細胞増殖が抑制され、細胞の大型化と付着能が促進された。大型細胞は小型細胞に比べ、血小板膜糖蛋白質CD41抗原発現が高く、PMA処理後にCD41抗原量が有意に増加し、核多倍体化とPAS染色陽性顆粒の増加が認められた。以上の結果からHEL細胞が巨核球様細胞に分化誘導されたことが確認された。 また、PMA処理後の付着HEL細胞では抗血小板薬アスピリン(ASP)がトロンビン刺激で分泌される細胞内Ca2+([Ca2+])を抑制し、その抑制率は無処理細胞と比べて有意に高かった。そこでPMA処理後の付着HEL細胞を用いたASP、シロスタゾール(CIL)およびイブプロフェン(IBU)による薬剤評価の検討を行った。低濃度(1μg/ml)でのASPによる[Ca2+]分泌の抑制率は無処理細胞と比べて有意に高く、さらにCIL(5μM)、IBU(8μM)においても[Ca2+]分泌を有意に抑制した。また、CMK細胞でのASPおよびCILによる[Ca2+]分泌の抑制率はPMA処理後の付着HEL細胞とほぼ同程度となり、CMK細胞を用いた血小板に対する薬剤評価が可能であった。一方、CMK細胞のPMA処理では細胞の大型化と付着能の促進が認められたが、トロンビン刺激による[Ca2+]分泌の反応性が低下し、ASPによる抑制効果を十分に評価できなかった。 また今回、トロンビン刺激によってCMK細胞膜上に増加するCD62P抗原をASP(100・1000μg/ml)が有意に抑制することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
巨核球系への分化誘導剤であるPMAによりHEL細胞の分化誘導を行い、細胞の大型化、細胞の形態・状態変化・CD41抗原量、さらに核多倍体化とPAS染色陽性顆粒の増加からHEL細胞が巨核球様細胞の特徴を持った細胞に分化誘導されたことを確認した。また、PMA処理後の付着HEL細胞と巨核芽球系培養細胞であるCMK細胞を「血小板モデル細胞」としてヒト血小板の変わりに用いることでアスピリン、シロスタゾールおよびイブプロフェンによる薬剤評価が可能であった。 以上の結果から、本研究においてPMA処理後の付着HEL細胞およびCMK細胞は「血小板モデル細胞」として使用可能であることが明らかとなった。また今回、CMK細胞のトロンビン刺激によって増加する細胞膜上CD62P抗原のアスピリンによる抑制が確認でき、細胞膜上のCD62P抗原量の変化を指標することで各種薬剤の薬剤評価が可能であると考えられる。現在これらの検討も進めており、本研究はほぼ順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、今回「血小板モデル細胞」として確定したPMA処理後の付着HEL細胞および巨核芽球系培養細胞であるCMK細胞を用いた各種薬剤の細胞内Ca2+を指標とした薬剤評価および臨床応用について検討を行うとともに、血小板活性化によって細胞膜上に発現あるいは構造変化する各種細胞膜抗原を指標とした薬剤評価の検討を進める予定である。
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Research Products
(2 results)