2014 Fiscal Year Research-status Report
生体センサーを用いたペルソナの識別の可能性に関する研究
Project/Area Number |
26670351
|
Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
澤口 聡子 帝京平成大学, 地域医療学部, 教授 (90235458)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加茂 登志子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20186018)
米山 万里枝 東京医療保健大学大学院, 医療保健学研究科, 教授 (00554247)
滝口 清昭 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (30539002)
坂本 慎一 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80282599)
大脇 敏之 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70453834)
多木 崇 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70408475)
栗原 千絵子 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 研究員 (40620761)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 個人同定 / 個体 / 人格 / ペルソナ / 意識 / 解離性人格障害 / 成長 / 国際情報交換 アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
触法精神障害者の関わる刑事事件の法廷で、被害者が容疑を犯したとき本当に別人格であったのか、そもそも被疑者は多重人格であるのかが争点となる。そのような事件で、現在の精神医学は、客観的な指標を示せない。このような視点にたつと、一つの個体に複数のペルソナの発生する現象を、現在の科学でどこまで識別可能であるのか、それらが意図的な生体変化とどこまで識別されえるか、確認することは有意義である。特徴的なペルソナを有する人に共通の脳の器質的・脳波変化は既に報告されており、ペルソナと肉体の関係の科学的な識別を検討する。1)声に対する音響工学的解析、2)人体近傍電磁界の解析によりペルソナの識別を行う。前者の基礎的検討の為、音声分析ソフトPraatを用い、男性2名の音声「こんにちは」でintensity/pitch(基本周波数)/formant/spectrogramを比較、2名の「こんにちは」「おはようございます」でERB(等価短形帯域幅)/Formant分析/Intensityを比較し、ERB/Formant分析で半定量的識別可能性を認めた。Youtubeに掲載された解離性同一性障害患者の音声を分析し、本人女性25歳とそれ以外の3つの人格(小学校低学年の人格A、高校生の人格B、思春期の人格C)を「はい」を用い、周波数特性/スペクトラグラム/pitch/formant周波数を指標により半定量的識別可能性を認めた。歩行運動に伴う履物底と床面との帯電/人体の静電容量変化の為人体近傍電磁界が変化し、歩行状態は被験者の精神状態を反映する事を利用し、異なる10名間で歩幅に有意差がある(F(9,20)=94.841,p<0.001)が、異なる歩き方では有意差がなかった(F(4,10)=0.325,p=0.855)。情報漏洩リスクについても検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前者の基礎的検討の為、音声分析ソフトPraatを用い、男性2名の音声「こんにちは」でintensity/pitch(基本周波数)/formant/spectrogramを比較、2名の「こんにちは」「おはようございます」でERB(等価短形帯域幅)/Formant分析/Intensityを比較し、ERB/Formant分析で半定量的識別可能性を認めた。Youtubeに掲載された解離性同一性障害患者の音声を分析し、本人女性25歳とそれ以外の3つの人格(小学校低学年のお肉、高校生の柿子、思春期の少女魚)を「はい」を用い、周波数特性/スペクトラグラム/pitch/formant周波数を指標により半定量的識別可能性を認めた。歩行運動に伴う履物底と床面との帯電/人体の静電容量変化の為人体近傍電磁界が変化し、歩行状態は被験者の精神状態を反映する事を利用し、異なる10名間で歩幅に有意差がある(F(9,20)=94.841,p<0.001)が異なる歩き方で有意差がなかった(F(4,10)=0.325,p=0.855)。栗原は情報漏洩リスクについて検討。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、本科研費においては、音響工学的解析に研究の中心を絞る。1)に関して、ERB/Formant分析は人格識別可能性があると示唆されたが半定量的な段階であるので、今後定量的なものに高め、解離性同一性障害の患者と対照患者の実声で、人格識別の可能性を検討し、定量的に識別することを試みる。対照として意識状態の異なる複数の状態のヒト対照例を用意する。2)乳幼児を含み意識の変化に伴う複数の発声例をヒト対象から録音し、経時的な変化で個人の同一性をどの程度特異的に反映できるか、分析する。2)については、歩行運動による人体の静電容量の変化は、意図的な歩き方の相違を反映せず、精神的な変化や人格の変化による相違を識別できる可能性は少ないと思われる。歩隔等、関連因子追加測定が困難な状況にあるため、現存データを再解析し、人格変化を反映する可能性のある特異性と感受性の高い指標を見出し得るか否か検討する。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた高額な音声分析ソフトウエアが、高額でなく低額なものであっても、同程度の機能が保障されることが判明したため
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
分担研究者を増やし、音声分析の対照を複数設定できるようにすると共に、音声分析の定量化処理・特異性成分の抽出をより容易にする。 次年度使用額は分担研究者配分額にあてる。
|
Research Products
(4 results)