2015 Fiscal Year Research-status Report
生体センサーを用いたペルソナの識別の可能性に関する研究
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26670351
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
澤口 聡子 国立保健医療科学院, その他部局等, 統括研究官 (90235458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加茂 登志子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20186018)
米山 万里枝 東京医療保健大学, その他の研究科, 教授 (00554247)
滝口 清昭 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (30539002)
坂本 慎一 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80282599)
大脇 敏之 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70453834) [Withdrawn]
多木 崇 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70408475)
栗原 千絵子 国立研究開発法人放射線医学総合研究所, その他部局等, 研究員 (40620761)
加藤 則子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (30150171)
佐藤 啓造 昭和大学, 医学部, 教授 (20162422)
京相 雅樹 東京都市大学, 工学部, 准教授 (20277825)
平澤 恭子 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (50316709)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 個人同定 / 音声識別 / 解離性同一性障害 / 多重人格 / ペルソナ / 波動 / 経時性 / univariate |
Outline of Annual Research Achievements |
解離性同一性障害(多重人格)者のYOU TUBE録音音声の周波数特性曲線の目視により人格識別が可能なことを昨年示した。本年度は、人格毎の音声の数値化を行い、通常の統計処理で人格識別が可能か検討した。各人格における助詞の「は」と「が」を抽出し、基本周波数・顎の開けた程度・舌の位置・口の丸さについて数値化し、定量的分析・定性的分析の双方を行った。相関分析では全ての人格間に高い相関性が見られ、個体における人格識別に適しない結果を得た。SAS9.4によりノンパラメトリックな一元配置解析で各人格間にクラスカルワリス(KW)・メデイアンスコア(MS)・Van der Waerden(VW)・Savag・Singer Turkey(ST)・Ansari Bradley(AB)・Klotz・Mood・Kormogorov-Smilnov(KS) testで有意差なし、CramervonMuses検定のみ有意差あり。 因子分析・判別分析・クラスター分析において各人格間の相違が質的に顕かになった。同条件で施行した混合モデルが2人格で適合し、1人格で適合しなかった。一般的質的統計手法で、1個体中の複数人格の識別が可能と示唆された。 また、年齢別月例別小児の音声録音対象を得られず、落語DVDを利用し、同一の落語家の年齢の異なる(8歳差)時期の録音(演目は異なる)の母音について、同様に解析した。50歳時の周波数解析ではKW・MS・VW・Savage・ST・AB・Klotz・Mood・CM検定で有意差があり(p<0.01)、58歳時では2~3項目相違が出現した。また、50歳時と58歳時の判別分析で各項目のP=0.2~0.9、多変量統計量<0.007、平均事後判別確率は0.6、事後誤判別確率は0.4であった。故に、年齢が異なる個体の同一性は音声により証明可能と示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究においては、ヒトの音声を測定の対象としている。解離性同一性障害及び年齢・月齢の異なる小児の双方について複数・各地の研究者にお願いしたが、測定の対象となる対象を確保する適切なフィールドを得ることができなかった。ぶまた、解離性同一性障害の患者の主たる確保をお願いした分担研究者が長期入院なさったこと、実際に録音の対象となる患者様が一人しかいないこと、等の理由により、研究はやや遅れている。 このため、患者なしに本研究を遂行できる方法を考慮し、YouTube/落語音声等の代替的対象を用いて基礎実験を行い、識別の可能性がある程度高いことが示された。ただし、このような代替音声は、対象音声の他に混在する音が多く、理想的な音源でないこと、複数回の録音と音声の切り出し等に非常に時間がかかり、多数の個体を分析することが時間的に不可能なこと、一人の研究者が複数の研究を抱えており、この研究のみに時間を避けないこと等が、遅れの理由となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
ペルソナの音声識別に成功した解離性同一性障害の一事例と、年齢の異なる個体の声による同一性の証明に成功した落語音声について、早期に論文化する。現在確保している1名の解離性同一性障害者の音声録音のための倫理審査を早急にすすめる。他に確保したYOUTUBE音声や落語DVD等の混在音のある音源における分析法を確立する。無意識下の音声と意識下の音声、催眠状態での音声等、健康ボランティアにより音声録音の可能な確実な対象を考慮する。分析方法として、一般的統計手法だけでなく、周波数分析の基礎的な方法(波の振幅と高さ)、経時分析の基礎的な方法の応用を考慮する。若手研究者で、音源の切り出し等に専念することの可能なものを募る。 平成27年度は音声の解析に向けた解析プログラムの構築を行った。まず,一般的な解析方法であるフォルマントおよびピッチを用いた解析を目的として,音声解析ソフトpraatで動作するプログラムを作成した。解析はまず,音声を聴覚で確認しながら波形表示グラフ上で解析区間を手動設定し,次に設定した区間を自動解析するという手順で行うようになっている。作成したプログラムのテストとして,取得済みの音声データを用いた解析を実施し,正常動作を確認した。個々の研究者によって解析方法が多様であるため、方法論により生じる相違を内包して今後の研究を推進したい。この部分を迅速にすることが、多数対象を分析する為に必須となると思われる。
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Causes of Carryover |
当初音声録音を予定していた小児、及び解離性同一性障害患者の確保ができなかったため、対象者への謝金、録音に関する経費積算分に見積もり額と相違が発生した
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
若手研究者・研究補助者への謝金、今年度確保された音声録音対象者への謝金・音声録音経費、英文校正・国際学会旅費等に使用予定
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Research Products
(19 results)