2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞運命と染色体マクロレベルにおける発現調節機構の機能的関係
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26670465
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北村 俊雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20282527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 俊哉 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60281292)
松井 啓隆 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (60379849)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞分化 / 好中球 / ヒストン修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
HL60でATRAあるいはVitD3で好中球あるいは単球への分化を誘導し、刺激30分後、1時間、2時間、4時間、6時間、9時間、12時間、24時間、48時間後のRNAを抽出し、それぞれライブラリーを作成し、RNA seqを行い、刺激前の細胞と較べて遺伝子発現があがってくるものを同定した。多くの分化関連遺伝子の発現上昇、幹細胞性に関与する遺伝子の発現低下が認められた。これらの遺伝子群は、単球に分化するときのみ発現が上昇する遺伝子、好中球に分化するときのみ発現が上昇する遺伝子、どちらでも上昇する遺伝子、どちらでも低下する遺伝子に分類できた。これらの遺伝子のなかで、分化誘導前には発現がほとんどなく、好中球および単球への分化誘導後に早期に発現が上昇してくる遺伝子としてSema6Bに注目して研究を進めた。Sema6Bは神経細胞の成長に関与することが知られている遺伝子であるが、造血細胞分化に関与していることは今までに知られていない。我々はHL60細胞のSema5B遺伝子座に蛍光蛋白質遺伝子AzaleaおよびmVenusをノックインすることにより、分化早期に蛍光色を発する細胞を樹立した。この細胞にさらに我々が以前樹立したG0マーカーp27K-を導入することにより、細胞分化がどの細胞周期から起こるのかを同定することができる。 また、ASXL1をノックダウンしたHL60細胞ではATRAによる分化誘導が抑制されるが、この際いかなる遺伝子発現変化が起こっているかを分化誘導前後の遺伝子発現解析をRNAseqで行い、HL60の親株と比較した。またChIPseqも同時に行ない、遺伝子発現変化が染色体のブロック毎に起こっているという明らかな証拠は得られなかったが、興味深いことに分化誘導することによってスプライシング関連遺伝子の発現にスプライシング異常が起こること、ASXL1ノックダウンによってこの傾向がさらに強くなる傾向が認められた。
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