2014 Fiscal Year Research-status Report
毛包バルジ幹細胞の特性決定における腱様機能獲得の意義
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26670533
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤原 裕展 独立行政法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, チームリーダー (20615744)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 毛包 / 腱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、毛包バルジ幹細胞が表皮細胞としての性質に加え、立毛筋制御のための腱様機能を持つというmulti-functionalityが幹細胞としての性質決定に関わるとの仮説を立て、それを検証する。そのために、まず、腱や靭帯に特徴的な遺伝子が毛包バルジ幹細胞でどの程度優位に発現誘導されているのかを、FACSによって分離された成体バルジ幹細胞とその他の表皮基底細胞のトランスクリプトーム解析 (RNA-sequencing) により比較した。バルジ幹細胞では、腱や靭帯に特徴的な遺伝子の発現上昇に加え、骨や筋肉を定義する遺伝子群の発現も優位に上昇していることが明らかとなった。次に、腱様機能に関わる遺伝子の発現が、器官形成のどの時期に誘導されるのかを、腱の主要な転写因子として知られるScxの遺伝子発現を指標に解析した。Scxの発現は、発生期に毛包バルジが形成され、間充織側に立毛筋前駆細胞が誘導されるのとほぼ同じタイミングで、バルジ幹細胞においてのみ誘導された。また、バルジ幹細胞におけるScxの発現は、毛周期に関わらず、常にバルジ幹細胞でのみ高発現していることが示された。これらの結果は、1) 毛包バルジ幹細胞は、バルジに誘導されると同時に、腱細胞に特徴的な遺伝子発現を獲得し、毛周期に関わらず、生涯に渡ってその性質を維持すること、2) バルジ幹細胞が幹細胞ニッチから離れると、腱に類似した遺伝子の発現が減弱することを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目に達成予定であった、1) 毛包バルジ幹細胞の分離、遺伝子発現プロファイリング、バイオインフォマティックスと、2) 毛包発生における腱細胞性遺伝子の発現パターンの解析を終え、バルジ幹細胞と腱細胞との類似性及び、その類似性が獲得される発生時期が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
1)Scxを発現するバルジ細胞が、確かに毛包幹細胞であることを、lineage trasing実験により明らかにする。 2)毛包バルジ幹細胞の特性決定におけるScx遺伝子の役割を解析する。
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Causes of Carryover |
実施予定であった腱細胞のトランスクリプトーム解析は行わず、他のグループから報告された腱細胞のトランスクリプトーム情報を利用して、研究を進めたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度行わなかった腱細胞のトランスクリプトーム解析に使用する。
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