2014 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制剤不使用下での皮下膵島移植の実現とその免疫寛容機構の解析
Project/Area Number |
26670577
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30160120)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱口 真英 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80350883)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ランゲルハンス氏島 / 膵島 / 制御性T細胞 / 糖尿病 / 血糖値 / 移植 / 皮下移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫抑制剤を用いない膵ランゲルハンス氏島(膵島)の皮下移植の実現を目指して研究を行ってきた。F334ラットから膵島を分離し、ストレプトゾトシンで糖尿病を誘発したACIラットへ移植する系を用いた。ACIラットの皮下に繊維芽細胞増殖因子(bFGF)含有アガロースロッドを7日間埋め込むことで皮下に血管網が豊富な組織を誘導し、その部位にF334ラットから分離した膵島3000個を移植した。7匹中全てのレシピエントにおいて移植膵島が拒絶を受けることなく、血糖値が長期間正常化した。アガロースロッド周囲の免疫状態を解析するためにbFGF含有アガロースロッド周囲に形成された組織からリンパ球を回収しフローサイトメーターで解析を行った。免疫抑制的に働く制御性T細胞(Treg細胞)の比率(Foxp3/CD4 x 100)が20 -30%であった。比較のために行ったbFGF不含アガロースロッド周囲ではこの比率が10 -15%であった。さらに、膵島移植後もTreg細胞の比率は持続的に20 -30%の高値を維持していた。また、所属リンパ節や脾臓内のTreg細胞の比率は10%以下であった。一方、細胞障害性T細胞(CD8陽性細胞)について解析を行ったところbFGF含有アガロースロッドを埋め込んだ周囲の組織ではCD8陽性細胞とCD4陽性細胞の割合(CD8/CD4 x 100)が30 -80%であり、bFGF不含アガロースロッドの周囲の組織では50 -70%であった。この比率については有意な違いはなかった。また、膵島が長期間生着しているレシピエントACIラットにドナーF344ラットの脾細胞を腹腔内注入したところ、生着していた膵島が拒絶され血糖値が上昇した。以上のことからbFGF含有アガロースロッドを埋め込むことで皮下に局所的な免疫寛容環境が形成されたと考えている。
|
Research Products
(2 results)